菅田将暉、要潤、瀬戸康史……三者三様の個性で『まんぷく』を盛り上げる平成仮面ライダー

『まんぷく』を盛り上げる平成仮面ライダー3人衆

要潤(香田忠彦)

 福子の姉・克子(松下奈緒)の夫である忠彦さんは、回を重ねるごとに愛着が増してきているキャラクターだ。画家をしており、絵が売れることもあるものの、生計を立てるまでにはいかず、両親からの援助を受けながらの生活のため、義母・鈴(松坂慶子)から良く思われていなかった。しかし何気に鈴の扱いに長けており、鈴をモデルに観音様のように美しい肖像画を描くなどして、良好な関係を築くように。また娘のタカ(岸井ゆきの)を「浮世離れした美人」と呼び、親ばかな顔を見せるが、そうした一面を見せるにつれ、忠彦さんのキャラクターが愛されるようになっている。

 要潤(37)は平成仮面ライダーシリーズ第2作となる『仮面ライダーアギト』(テレビ朝日系)の仮面ライダーG3役で2001年にデビュー。翌年の昼ドラ『新・愛の嵐』(フジテレビ系)でヒロインの相手役を演じて人気を博す。そのルックスから、当初は堅物な印象が強かったが、バラエティ番組への出演などからお笑い好きな性格が露呈し、俳優業に留まらない活躍を見せるようになる。特に出身地である香川県をPRするための架空の県「うどん県」の副知事としての広報活動は有名だ。
 
 もちろん俳優としても毎年途切れることなく、さまざまなジャンルの作品に出演。代表作のひとつであるドラマとバラエティを融合させた『タイムスクープハンター』(NHK総合)は、シーズン6まで続く人気作となり、劇場版にまで発展した。2019年は話題作『キングダム』のキャストにも名を連ねている。

 『まんぷく』の忠彦さんとしては、福子や萬平の心配はもとより、やはりタカと神部(瀬戸康史)との関係が気になって仕方のないところ。成績も優秀なタカは、忠彦の助言通り、大阪帝大に進学するのか?

瀬戸康史(神部茂)

 大阪帝大卒ながら、もともとは香田家に入った泥棒だった神部。しかしその境遇を聞いた福子たちから、香田家の子どもたちの家庭教師を頼まれて、そのまま居候することになる。そして男として萬平へ全幅の信頼を置くようになっていく。ともに泉大津に移り住んでからは、“塩軍団”のリーダー的存在として「ダネイホン」開発に尽力した。また年頃になったタカに思いを寄せられるようになると、神部もタカを好きに。タカが女学校を卒業したら結婚する約束をするまでになるが、タカの父・忠彦は、若いタカの結婚を100%認めたわけではない。

 演じる瀬戸康史(30)は、若手男性俳優集団D-BOYSのメンバーでもあり、2005年に『第2回D-BOYSオーディション』で準グランプリを受賞したことからデビューに至る。翌年、テニミュこと『ミュージカル テニスの王子様』への出演で注目を浴び、2008年に平成仮面ライダーシリーズ第9作『仮面ライダーキバ』に主演し、知名度を上げる。アヒル口の童顔に対して低音ボイスというギャップが魅力のひとつとなっている。

 今年は1月期ドラマ『海月姫』(フジテレビ系)にて、映画版で菅田将暉が演じて好評だった女装男子の鯉淵蔵之介を演じ、完成度の高い女装姿で驚かせた。また7月期には産婦人科医院を舞台に命と向き合った『透明なゆりかご』(NHK総合)で若き医院長を真摯な姿勢で演じ切り、役者としての評価を高めた。

 『まんぷく』では、生涯に渡って福子と萬平を支えていくだろう神部。東京支社に行った際には、べっぴんな美代子さんの登場に、ハラハラさせられたが、忠彦さんと同様に、タカが「ものすごい美人」に見えている神部は全く動じなかった。多くの視聴者が、神部とタカのエピソードについても注目している。

 それぞれに異なる魅力を持った平成仮面ライダー出身の3人衆が、福子たちの人生にどう関わっていくのか。ひとりひとりのキャラクターの個性を丁寧に積み上げた脚本と演出のもとで進む物語を、後半戦も愛情を持って見守りたい。

■望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平/桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、瀬戸康史、中尾明慶、橋爪功、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

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