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『グリンチ』はなぜシンプルな構成になったのか? 大人のための楽しみ方を指南

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 日本でも人気のキャラクターとして定着した「ミニオン」たち。彼らが登場する『怪盗グルー』シリーズで知られる、イルミネーション・エンターテインメントが、クリスマスシーズンを皮切りに贈るアニメーションが、絵本を原作とする『グリンチ』だ。

 世間と交わらない孤独な存在として悪事をはたらき、純粋な子どもと出会うことで変化を見せていく「グリンチ」は、まさに「怪盗グルー」の原型ともいえる共通点を持ったキャラクターといえる。なのでイルミネーションと『グリンチ』の組み合わせは、原点をたどるという意味では納得するところがある。

 だが日本の観客にとって、本作は拍子抜けするところがあるかもしれない。『怪盗グルー』シリーズ級の予算をかけた大作ながら、ストーリーにはそれほど起伏がなく非常にシンプルな構成となっているからだ。これは現在の、目まぐるしい展開が続いていくような多くの作品とは明らかに異質だ。さらに、ディズニーやピクサー作品が近年見せている、既存のおとぎ話風の世界を一部否定しているようにすら感じさせる、一種の過激なアプローチというのも、ここにはない。

 なぜ本作は一見、時代と逆行すると思えるバランスになっているのだろうか。ここでは、『グリンチ』の内容や背景について述べながら、作品の意味について解説していきたい。

 原作者は、ファンタジックな物語や、可愛らしい絵柄に特徴のある、アメリカの著名な絵本作家、ドクター・スースである。『ホートン/ふしぎな世界のダレダーレ』(2008年)や、『ロラックスおじさんの秘密の種』(2012年)など、近年アニメ映画化された作品もあり、1991年に死去した後も、その作品は根強く愛されている。

 なかでも最も知られているのが、1957年に発表された『いじわるグリンチのクリスマス』(”How the Grinch Stole Christmas!”)だ。『ホートン/ふしぎな世界のダレダーレ』や、その原作になった『ぞうのホートンひとだすけ』(1954年)に登場する、小さな妖精のような人々のコミュニティーである「フーの村(フーヴィル)」が舞台となっている。

 グリンチは、フーの村の北にそびえる険しい山にある洞窟に住んでいて、家族も友達もない孤独な生活を送っている。そんなグリンチは、人々が楽しそうに歌い、幸せに過ごすクリスマスの時期が嫌いで、その象徴となるクリスマスツリーやプレゼントを、フーの村のすべての家から盗み出し、クリスマスを奪おうとする。だが、小さな女の子シンディー・ルーとの出会いや、悲しみのなかでも合唱する人々の姿を見て、グリンチのひねくれた狭量な心は変化を見せ始める。

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