有村架純と町田啓太、本音を晒け出した“大人”たち 『中学聖日記』1章から2章への大きな変化
もう1人、変わってしまった人物がいる。町田啓太演じる勝太郎だ。陽だまりに佇んで微笑むのが似合う、安定感のある理想の彼氏だったはずの勝太郎。しかし、2章においては違う色を見せる。仕事場で納得のいかないことがあると啖呵を切り、会社で原口を机に押し倒し、彼女の口紅で自分の口周りを赤く染める。そして聖や晶と再会してしまったことで、抑え続けてきた聖への感情が次第に沸きあがり、もう平常心ではいられない。5話の終盤では「この先1人になって全部なくせばいい」と呪い、9話では、原口の忠告を聞かず、聖と晶の居場所を愛子に告げ口する。1章において原口から心の奥底にある黒い部分を指摘され、やんわり否定しながら屈託なく笑っていた彼は、もうかっこつけることも、気づかないふり、平気なふりも、さらには“過去は忘れて次の恋愛に向かう器用なふり”も、できなくなってしまったのだ。
誰ももう抗えない。登場人物たちの多くが誰かに固執してしまうあまり、自分を制御し取り繕うことも難しい。他の誰かを気遣う余裕すらなくなってしまった。
それでも、「今どんなに強く思っても突然夢から目が醒めるの。ほんの一時だけ。その時どんなに後悔してもどうにもならないから」という5話の愛子の忠告が現実のものになってしまうことだってある。
ようやく結ばれた聖と晶、原口から別れを切り出され、聖への思いが暴走していきかねない勝太郎、それぞれの行き着く場所はどこにあるのか。
見たくないようで見たいような、どっちつかずの感情のまま、第9話も固唾を呑んで見守ってしまうのだろう。
■藤原奈緒
1992年生まれ。大分県在住の書店員。「映画芸術」などに寄稿。
■公開情報
火曜ドラマ『中学聖日記』
TBS系にて、毎週火曜22:00~23:07放送
出演:有村架純、岡田健史、町田啓太、マキタスポーツ、夏木マリ、友近、吉田羊、夏川結衣、中山咲月、岸谷五朗
原作:かわかみじゅんこ『中学聖日記』(祥伝社フィールコミックス)
脚本:金子ありさ
演出:塚原あゆ子、竹村謙太郎、坪井敏雄
主題歌:Uru「プロローグ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/chugakuseinikki_tbs/