岡田将生に変貌のとき訪れる? 20代最後の年に『昭和元禄落語心中』で“深みある大人の役者“へ
そして放送中の『昭和元禄落語心中』では、八代目有楽亭八雲が抱えてきた孤独と苦しみ、人生の重みを、佇まいや眼差しにも滲ませている。老け役というのは、当然ながらメイクだけで成立できるものではない。立ち方、間、声の変化に加え、本作では噺家というハードルまであるが、岡田はそれらの期待に見事に応え、真打としての八雲の落語に凄みを伴って圧倒する。
芸人・鉄拳のパラパラ漫画が原作の主演映画『家族のはなし』も公開となった。岡田自身が「とにかくまっすぐに演じた」と語っている通り、ここでは、夢と現状の狭間でもがき、家族に対して素直になれない等身大の青年を、ただひたすらまっすぐに演じている。だが、大学を中退した金髪の青年といった役柄も、そろそろ見納めになってくるかもしれない。
さて、『昭和元禄落語心中』はさらに時間を経て終盤へと突入。常に変化し続けてきた岡田だが、20代最後の年に、その変化が加速している。見た目のいい役者は山ほどいるが、岡田は、30代、40代と年を経るごとに、ますます魅力的な俳優になっていくに違いないと期待を抱かせる。そしていまは、美青年から深みある大人の役者として大きく変貌していく様を、目の当たりにできる贅沢なときだ。
■望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。
■放送情報
ドラマ10『昭和元禄落語心中』
NHK総合にて、毎週金曜22:00~放送
出演:岡田将生、竜星涼、成海璃子、大政絢、山崎育三郎
脚本:羽原大介
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/drama10/rakugo/index.html
■公開情報
『家族のはなし』
11月23日(金・祝)イオンシネマほか全国ロードショー
出演: 岡田将生、成海璃子、金子大地、佐藤寛太、水田信二(和牛)、渡辺憲吉、財前直見、時任三郎
原作:鉄拳
監督:山本剛義
脚本:青塚美穂
制作:よしもとクリエイティブエージェンシー、MBS
制作プロダクション:ドリマックス・テレビジョン
製作:吉本興業、MBS、VAPユニバーサル・ミュージック
配給:KATSU-do
日本/2018年/80分
(c)『家族のはなし』 製作委員会
公式サイト:http://kazokunohanashi.official-movie.com/