視聴率2桁にV字回復 後半戦突入の『獣になれない私たち』“橘カイジ探し”にネット湧く

『けもなれ』“橘カイジ探し"にネット湧く

 しかし、カイジと呉羽の結婚は偽装ではなかった。呉羽が恒星と別れ、カイジと結婚した理由は、呉羽の子宮全摘手術にあったことが呉羽の口から説明されたのだ。「○○らしい」「聞いた話だと△△みたい」そのようなうわさ話に翻弄され、懸命に動いてみても物事の本質にはたどり着けない。まさに、ネット上にある“橘カイジ探し”にも似ており、恒星が呉羽の苦しみに気付けなかったように、わたしたちも橘カイジに対して、何か身近なところに見落としがあるのかもしれない。

 京谷と寝てしまい、晶を混乱させるなどして“獣のように生きてきた”呉羽だが、子宮摘出手術を恒星に打ち明けられなかった彼女の人間味あふれる一面には、心揺さぶられた視聴者も多かったことだろう。“獣のように生きる”というのは、決して自由奔放に生きることではなく、大きな壁にぶちあたっても停滞せず、環境に適応できるように変化する力が必要なのだと感じさせられる。ただこれまで、不倫・浮気の目が近年より一層厳しくなる反面で、なぜか呉羽は「彼女ならしょうがない」という目で見てしまうのが不思議だった。

 松任谷(伊藤沙莉)が、路上でキスするのを喜ぶ女性を批判した筧文彦(吉村界人)に対して憤慨したように、貞操観念が少し低かっただけで女性がまるでだらしのないかのように責め立てられる場面が多いからだ。この現象にはしっかり名前がついており、「スラットシェイミング」と呼ばれている。女性は清らかでなければいけない、そんな勝手な押しつけから、少しでも外れると汚らわしいもののような目で見られる。今回このやり取りは物語に直接関係しなかったが、やはり何気ないシーンで心に残るセリフを放つ野木の脚本には、思わず拍手を送ってしまう。呉羽は甘い評価を受け、松任谷たちのような多くの人々が苦しい思いをするのはなぜだろうか。残念なことに今のところ、もしくは永遠に、その問いに対する確かな答えは出そうにない。

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(文=阿部桜子)

■放送情報
『獣になれない私たち』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:新垣結衣、松田龍平、田中圭、黒木華、菊地凛子、田中美佐子、松尾貴史、山内圭哉、犬飼貴丈、伊藤沙莉、近藤公園、一ノ瀬ワタル
脚本:野木亜紀子
演出:水田伸生
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:松本京子、大塚英治
協力プロデューサー:鈴木亜希乃
制作会社:ケイファクトリー
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/kemonare/



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