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新垣結衣の笑顔を封印した野木亜紀子の狙い 『獣になれない私たち』晶は“自由”のために戦うのか?

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 ドラマは5話を過ぎ、物語はちょうど、堂々巡りの大きな1巡目を終えた。第1話で、新垣結衣演じる晶は、かっこいい服とブーツという鎧を身につけ、「自由を手にするために必要な戦い」を華々しく開始したはずだった。だが結局はうまくいかず、晶を羨望し、自虐を武器にして何もしない人たちの「平和」を保つために、「幸せなら手をたたこう」と無駄に協調性の高い歌を口ずさみながら働き続ける。そして遂には第1話で線路に飛び込みそうになった時のように、ビルの屋上で、今にも自分を吸い込みそうな地面を見つめるのである。こんなにも苦しいドラマがあっていいのだろうか。こともあろうにガッキー主演で。

 そこに「原節子」というフレーズがでてくる。晶の上司・九十九(山内圭哉)にとっての精神的な女神、男たちの永遠のヒロイン・原節子。その称号を現代に置き換えると誰がふさわしいか。他ならぬガッキーこと新垣結衣なのではないか。

 「老若男女問わずみんなが好きなガッキー」、「ガッキースマイル最高」といった彼女の人気を不動のものにした大きな要因は、他ならぬ、昨年放送の野木亜紀子脚本ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)だった。実際私たちはその笑顔に、そのキュートなダンスに、言うべきことはきちんと言いつつ、明るく朗らかに前に進むことのできる主人公みくりの姿に、どれほど癒され、救われたことか。

 『逃げ恥』の野木亜紀子が、『獣になれない私たち』で再び新垣を主演に描いたのは、彼氏・京谷(田中圭)や上司・九十九、後輩・上野(犬飼貴丈)たち男にとっての都合のいい「女神」深海晶だった。そして、その輝くような笑顔を、松田龍平演じる恒星に「キモい」「嘘っぽい」と切り捨てさせたのである。

 野木が打ち立てた現代のニューヒロインは、誰かの都合のいい理想に祀り上げられて、自由に生きることも、本能のまま恋に落ちることもできない。そして、彼女が何より悲しいのは、死にたくなっても自暴自棄になっても、誰も手を差し伸べてくれる人はいないのだ。線路に飛び込んでしまいそうになっても、寸前で引き止めてくれる運命のヒーローはこのドラマに登場しない。屋上から飛び降りてしまいそうで縋るようにスマホのアドレス帳をスクロールしたところで、誰に電話すればいいのかわからないほどに孤独だ。いっそバカになって男と一夜を共にしようとしても、男のほうが先に酔いつぶれてしまい、結局は酒と銭湯で心を癒すのである。誰にも頼れない。

      

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