志尊淳ら特撮ヒーロー出身俳優が勢揃い! 『走れ!T校バスケット部』は重みのある青春映画に

『T校バスケ部』は重みのある青春映画に

 また、キャスト陣のキャラクターへのハマり方も秀逸で、それぞれの魅力がうまく引き出されている。陽一を囲むのは、正義感の強いキャプテン・俊介(佐野勇斗)、バスケオタクのガリ(戸塚)、モテたい一心のゾノ(佐藤寛太)、俊足で運動神経抜群の透(鈴木)、気弱で優しいコロ(西銘)、201cmの巨漢を誇る健太(阿見201)…と、キャラかぶりゼロの個性豊かな面々。負けん気の強いマネージャー役の早見あかりや、バスケのルールを知らない顧問役のYOUも、ドンピシャリの適役である。

 さらに、部活仲間らしいチーム感も見どころで、アドリブであろう掛け合いから、部員たちの仲睦まじさがバンバン伝わってくる(鑑賞中、彼らがちょいちょい挟む小言のやりとりに、何度吹き出して笑ったことか)。志尊は本作の製作発表時に「フェイクドキュメンタリーというか、僕らの今までの練習期間やカメラが回っていない所で、積み上げてきたコミュニケーションや空気感をのびのびと出せた作品だと思います」と語っているが、その自然さが物語に得もいえぬリアリティを生み出している。

 マンガや小説を原作とした映画は、内容の詰め込みすぎでテーマがブレてしまうものも多いが、『走れ!T校バスケット部』の“仲間との絆”や“信じることの大切さ”というアツいメッセージは、終始ブレることがない。スポーツものとしての一面だけを切り取ってしまえば王道のストーリーかもしれないが、そこに陽一のバックボーンや、ドキュメンタリーに近い空気感が加わることで、より心に響くものがあるというのが、本作の強みだろう。

 「やっぱり仲間っていいな。部活っていいな」と素直に思える青春映画でありつつ、豪華キャストと『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)を手がけた脚本・徳尾浩司、『今日、恋をはじめます』の監督・古澤健をはじめとするスタッフが、いじめとの向き合い方に切り込んだ教育的作品ともいえる『走れ!T校バスケット部』。今度の休日には『トッキュウジャー』世代の息子の手を引き、再び映画館に足を運んでみようと思う。

■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。5歳・7歳の息子を持つ2児の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter

■公開情報
『走れ!T校バスケット部』
全国公開中
監督:古沢健
出演:志尊淳、竹内涼真、佐野勇人、早見あかり、戸塚純貴、佐藤寛太、鈴木勝大、西銘俊、阿見201、YOU、椎名桔平、真飛聖、竹中直人
配給:東映
企画製作幹事:テレビ朝日
原作『走れ!T校バスケット部』(松崎洋著・幻冬舎文庫)
(c)2018「走れ!T校バスケット部」製作委員会
公式サイト:http://tkoubaske.jp/

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