『まんぷく』浜野謙太が大評判! “笑いを誘う”存在感がお茶の間に求められる理由?

『まんぷく』浜野謙太が大評判の理由

「ドラマってなんであんなに待ち時間長いんだろうねえ。いつもああなんだよね? 星野くん、よく耐えられるねえ。俺、無理だわあ。無理無理」

 2007年、大根仁がせきしろのエッセイ『去年ルノアールで』をテレビ東京深夜でドラマ化。主演は星野源で、ゲストみたいな形で浜野謙太も出演。撮影の翌日かなんかに、SAKEROCKとしてふたりにインタビューする仕事があり、その時の雑談でハマケンが口にしていた言葉です、これ。

 ハマケン、前年の2006年に映画『ハチミツとクローバー』で初の役者仕事は経験ずみだったが、ドラマはこの時が初めて。で、こんなことを言っていたのでした。ふたりとも絶対憶えていないだろうが、僕は強く記憶している。その後立て続けに何度も、そう、本当に何度も、「あんなこと言ってたくせに!」と思わされて来て、現在に至るもんで。

 『週刊真木よう子』(テレビ東京系ドラマ、2008年)や『少年メリケンサック』(映画、2009年)あたりまでは、まだ「近い知り合いがおもしろがって使う」みたいなノリだったが、2011年の映画『婚前特急』の宣伝で吉高由里子と共にテレビに出まくったぐらいから「普通にドラマや映画に出ている」感じになり始めた。

 それでもその時はまだ「吉高由里子はいいけど、この男は誰?」みたいな具合で、いじられながらテレビに出ていたが、2013年暮に竹中直人企画の舞台『夜更かしの女たち』に出演する頃になると、もうあたりまえに浜野謙太=俳優、になっていた。下北沢本多劇場で観たんだけど、お客さんたちみんな、普通にハマケンを観ていたのを憶えている。


 そして。2016年の朝ドラ『とと姉ちゃん』を皮切りに、「NHKでやたら使われる役者」の仲間入りをする。BSプレミアムの『とと姉ちゃん』のスピンオフドラマ(2016年)、2017年5月に同じくBSプレミアムの『この世にたやすい仕事はない』、9月には地上波の『植木等とのぼせもん』を経て、同年11月には『男の操』(これもBSプレミアム)で主演。で、2018年は、大河ドラマ『西郷どん』と朝ドラ『まんぷく』の両方に出ている俳優になっている。ちなみに両方出ているのは、松坂慶子、内田有紀、浜野謙太の3人。という並びにも、何か、「うわあ、そうかあ」と思わされるものがあります。

 特に朝ドラ『まんぷく』で演じている歯科医、牧善之介。大評判、と言うほかない。朝ドラってうるさいファンが多いので(私もです)、この『まんぷく』も「どうなのあれ」みたいな辛口評価をSNSなどでよく見かけるが(私は肯定派です)、そんな人も「でも牧善之介は好き」とか書いているくらいのレベルだ。確かにおもしろい。「自分ではおもしろいつもりゼロだけどどうしようもなくおもしろい」人を演じるとすばらしいことになるんだな、この人は。ということを、私は牧善之介から学びました。

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