土屋太鳳らの目標達成できず ドラマ版『チア☆ダン』は部活劇らしからぬフィナーレに
そんな中、本番直前の円陣でわかばが突然「打倒JETSじゃない」と口にするのだ。ここまで来ることができのはJETSのおかげであると、「ありがとうって伝えたい」と語るわかば。思い返してみれば夢ノートや練習方法、「できっこないを やらなくちゃ」に、本番直前の彼女たちを元気付けた「自信を吸って不安を吐き出せ」。さらに遡れば、JETSのパフォーマンスを見てチアを目指し始めたわかば自身。まさにJETSがいたからこそRocketsがあるということだ。
そういった点では、王道の部活劇でありながらも部活劇らしからぬフィナーレを迎えたといってもいいだろう。「打倒JETS」ではないことを知り、いずれにしても2位で終わり目標に到達できなかった彼女たち。単純明快な「勝利」という結果ではなく、何を得たのか。それはもちろん太郎(オダギリジョー)がかけた「キラッキラしてた」という言葉にあったように、自分の置かれた境遇を乗り越え、諦めることなく真剣に何かに向き合うという「強さ」に他ならない。そして相手を打ち負かすのではなく称え合うことであったり、周囲の人に感謝し、元気を与えることといった「チア・スピリット」も然り。
ところで、本作の製作が決まった今年の1月から、Rocketsのメンバーを演じたキャストたちは実際にチアのトレーニングに励んでいたという。この最後のパフォーマンスには、ドラマ劇中としての見せ場であると同時に、女優として他の仕事と並行しながらも、真剣にこのドラマに、そしてこの役に向き合ってきた彼女たちの努力がしっかりとにじみ出るものだった。連続ドラマであってもこれだけ長いスパンをかけてひとつの役に向き合うことが少なくなった今だからこそ、彼女たちがこのドラマの経験を通して羽ばたいて行くことに期待していきたい。
■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter
■放送情報
『チア☆ダン』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜放送
出演:土屋太鳳、石井杏奈、佐久間由衣、山本舞香、朝比奈彩、大友花恋、箭内夢菜、志田彩良、オダギリジョー、佐生雪、溝口恵、福地桃子、堀田真由、伊原六花、足立佳奈、石崎なつみ、坂ノ上茜、守屋ことり、八木莉可子、阿川佐和子、木下ほうか、高橋和也、紺野まひる、松本若菜、本多力、森矢カンナ、木原勝利、広瀬すず、新木優子
原作:映画『チア☆ダン』製作委員会
脚本:後藤法子、徳尾浩司
プロデューサー:韓哲
協力プロデューサー:高山暢比古
演出:福田亮介、金子文紀
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/cheerdan_tbs/