芳根京子は土屋太鳳との演技バトルを勝ち取った? 『累-かさね-』で魅せる“憑依的な演技”

芳根京子は『累』を勝ち取った?

 醜い顔を持ちながら群を抜いた演技力を持つ淵累と、美しい顔を持ちながら女優としてのスランプに陥っている丹沢ニナの2役を、芳根京子と土屋太鳳という、今をときめく2人の若手女優が2人1役(そして1人2役でもある)で演じるという点に関しては、どう考えたって真実味がないのは仕方あるまい。それでも、そんな役にさえ真実味を持たせてこそ、女優としての真価を証明することができるのであろう。

 ともに20代前半であり、かたや『まれ』、もう一方は『べっぴんさん』とNHKの連続テレビ小説でヒロインを演じた経験を持つ2人は、同世代の女優をリードするだけの演技力とルックス、スター性の持ち主であることは言うまでもない。現在公開中の『累-かさね-』は、この2人の演技バトルこそが、最大の見せ場であるといえよう。

 映画全体を通して、この芳根vs土屋の演技バトルでどちらに軍配があがったか。“顔が入れ替わる”という設定上の役得として、ふたつの異なる性格の人間を演じると同時に“下手な芝居”と“上手な芝居”の両方を演じるというインパクトと、かつ自身の特技である舞踊を披露した土屋の方が、鮮烈な印象を残していることは間違いない。だが、土屋のように明確な見せ場となる部分を与えられることがなくとも、それに肩を並べるだけの存在感を見せつけた芳根の演技にこそ、大きな価値があるのではないだろうか。

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