沢村一樹の“魔物”演技に騒然 『絶対零度』最終回で投げかけられた“正義の在り方”

『絶対零度』沢村一樹の“魔物”演技に騒然

 山内がドアを突き破った先にいたのは、立ち尽くす井沢と、頭のすぐ横を何発も撃たれた町田の姿。発砲前に映し出される井沢の表情は、目を血走らせ殺気を放ちながらも、涙をためどこか悲哀にも似た感情が見て取れる。復讐心と葛藤する井沢を止めたのは、小田切と山内をはじめとしたミハンチームの声だった。ここで印象的なのが、事件の顛末を見守っていた桜木がつぶやいた「殺せばいい……」という一言。「もう刑事ではいられない」「罪を犯してでもやらなきゃいけないことがある」と1年間、単独行動を行ってきた桜木もまた、ミハンに組み込まれてしまった人間の1人であるが、チームとしては活動してはいない。田村、東堂は罪を犯した人間であるが、信じる正義を貫いたミハンチームの仲間。復讐の連鎖を止めるため、井沢もまた自身の貫く正義を選んだのだ。

 最終回には、全ての真実を暴こうとする桜木に上司の長嶋(北大路欣也)が、「正義に正しいも間違いもない」「立場が違えばその正義も変わる。お前の信じる正義を貫けばいい」と助言を送るシーンがあった。『絶対零度』シーズン3において、描かれていた大きなテーマは“正義の在り方”だったように思う。物語のラスト、刑務所にいる東堂に井沢は「ミハンは扱う人間によって光にも闇にもなる」「これからミハンがどうなっていくのか」「あなたには見届けていてほしい。生きろ。生きてくれ」と続けた。かつて田村が選んだ自殺という“正義の選択”ではなく、生きるという道。脈々と受け継がれる“正義の連鎖”が、井沢を、そして未来のミハンチームを支えていくのだろう。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』
出演:沢村一樹、横山裕、本田翼、柄本時生、平田満、伊藤淳史、上戸彩(特別出演)
企画:稲葉直人
プロデューサー:永井麗子(共同テレビ)
脚本:浜田秀哉
演出:佐藤祐市
制作:フジテレビ、共同テレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/zettaireido/

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