身近な愛が“小さな奇跡”を生みだす 『義母と娘のブルース』竹野内豊がつないだ母と娘の関係

身近な愛が“小さな奇跡”を生みだす 『義母と娘のブルース』竹野内豊がつないだ母と娘の関係

 一方、同じ時を過ごすうちに、亜希子の影響を徐々に受けてきたみゆきも「大丈夫」と気を張る。さらには、実母を亡くした経験から「慣れてるから」と言うほど冷静だ。だが、“再婚して日の浅い亜希子が良一の死をきっかけにいなくなってしまうのでは”という大人たちの噂話を耳にすると、とたんに不安な表情に。「しっかりしなきゃ」と皿洗いをするみゆきの姿は、すっかり“亜希子の娘”だった。

 「どうしたら良一さんがいるような楽しいお家を作れるんでしょうねえ。私にはビジョンが見えません。だから、一緒にプランを考えてくれますか?」と問いかける亜希子に、「お母さん」と応えるみゆき。思い返せば、出会ったころのみゆきは、亜希子の口から出るビジネス用語にも驚きを隠せずにいた。そして、亜希子もまた“ママらしさ”を真似ようと模索していた。だが、今ふたりの中には違和感なく「ビジョン」や「プラン」といった言葉がかわされている。同じものを食べ、同じものを見て笑い、少しずつすり合わせてきた日々が、自分たちならではの親子関係へとつながっているのだ。

 せきを切ったように泣きじゃくる亜希子。それは、過去から我慢してきた涙の分だったのかもしれない。自分に好意を持ち理解を示してくれた良一にもう会えないのだという現実、3人で家族写真を撮ることも叶わなかった悔しさ、職場の人からも好かれる太陽のような良一がなぜ逝かねばならないのかという不条理、そして何よりもみゆきという家族ができたことへの感謝と安堵……混濁する想いのままに人前に立つことなど、どんなときも理路整然と弁明を述べてきたこれまでの亜希子では考えられなかったこと。

 もし良一が亜希子に突飛なプロポーズをしなければ、もし亜希子が読んでいた漫画の作者が急逝していなければ、もしみゆきが義母と向き合う強さを持っていなければ……あの日、あの時起きた、あるいは起こした、小さな奇跡が人と人とを結びつけている。奇跡は決して1人では起き得ない。そして、その小さな奇跡は、周りから与えられる愛を見逃さない限り続いていく。

 それから9年。亜希子と共に小さな奇跡を一つひとつ慈しみながら、すくすくと育ったみゆき(上白石萌歌)は、朗らかでお人よしでちょっと抜けてる良一そっくりな女子高生に育った。そんな彼女の身のまわりでは、駆け込み電車にギリギリ乗れたり、冷えすぎるクーラーが消えたりとラッキーな出来事が続いていた。それは小学生のころ「よお、ブス!」「今日もデブだね」とからかい合い、ふとしたことから絶好宣言をしたまま転校してしまった、あの大樹(大智)が起こしていた、小さな奇跡だった。

 「全部俺だ!」。再会した大樹(井之脇海)は、爽やかな好青年に成長していた。あの頃と同じように「じゃあな、ブス」と茶化すが、「みゆきが好きで勝手にやっていた」と素直に気持ちを伝えられるほど、みゆきより大人になったように見えた。亜希子が良一から愛し愛される奇跡を教わったように、みゆきにとっても大樹が何か大きな成長をもたらすきっかけになるのだろうか。

 そして、亜希子もキャリアウーマンとして、倒産寸前のパン屋を再生しようと久々にスーツに身を包む。ようやく佐藤健演じる麦田章と亜希子が絡み始めるのも、今後の大きな見どころだ。仕事の喜びの本質をみゆきに見せようと奮闘する亜希子と、受験勉強にも恋にも不器用にぶつかっていきそうなみゆき。第2章も、私たちに笑いあり涙ありの小さな奇跡を通じて、家族の愛を気づかせてくれそうだ。

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(文=佐藤結衣)

■放送情報
火曜ドラマ『義母と娘のブルース』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜23:07放送
出演:綾瀬はるか、竹野内豊、佐藤健、横溝菜帆、川村陽介、橋本真実、真凛、奥山佳恵、浅利陽介、浅野和之、麻生祐未
原作:『義母と娘のブルース』(ぶんか社刊)桜沢鈴
脚本:森下佳子
プロデュース:飯田和孝、大形美佑葵
演出:平川雄一朗、中前勇児
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/gibomusu_blues/

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