加藤シゲアキ、勝利への覚悟を決意する 『ゼロ 一獲千金ゲーム』零役で見せる“強さ”
零の信念や得た確証を語るときも、零は目隠しの中でまっすぐ目を向ける。声役として参加したセイギ(間宮祥太朗)や峰子(小池栄子)の策略を見抜いたとき、零は目線を下に逸らすのではなく、強い目をまっすぐ前に向け、セーフエリアへと飛んだ。彼らに対して向ける目つきには、零の正義感がうまく表現されている。そして、目隠しを取った後、このゲームの主催者である在全(梅沢富美男)に目を向ける零の表情には「強さ」が感じられた。第1話から一貫して、弱きものを助ける信念はあったものの、どこかぼんやりした印象のあった零。しかしクォータージャンプを終えた後の零の目には、第1話~第2話にはなかった「強さ」が感じられる。
彼の強さは、台詞にも表れていた。零がクォータージャンプを終えた後、標(佐藤龍我)が零とは比べ物にならない早さでセーフエリアに飛び、ゲームに勝った。彼との間に広がる圧倒的な差や、自身の信念との違いに対し、微かに愕然とした表情を見せる零。その日の夜、彼は義賊たちの前で「相手を縛るのではなく、自分を緩める」「川の流れのようにあるがまま受け入れることで、無我の境地に辿り着けると思う」と自分の信念を語る。義賊の仲間たちは、そんな零に「ただ勝負に勝つのは王じゃないと思うんです」「本当の王は、零だってことだよ」と励ます。零の正義感に賛同する者もいる、ということが明確に分かるシーンなのだが、眠りにつく前に零は仲間たちに新たな決意を話す。
「勝負に勝たなきゃ、王にはなれないんです」
この台詞の直前までは、「自分が勝つことより、他人が負けないことを選ぶ」信念が強かった零。しかしクォータージャンプの後、このゲームの主催者・在全や標と対峙して決意が固まったのだろう。自分の信念を貫き、弱きものを助けるためには、まず在全に勝たなければならない。その決意を固めた零からは、ぼんやりした印象は感じられない。
加藤が演じるドラマ版の零は、正義感が強く、真面目な青年に感じる。原作に比べ、その真面目さが強調されているように感じたため、零というキャラクター像がぼやけて見えていたのも事実だろう。しかし第3話で見せた加藤の演技から、その正義感、誠実さが強く伝わったのではないかと考える。
次回第4話では、ヤクザの末崎(ケンドーコバヤシ)と声役として零を欺こうとしたセイギとチームを組むことになる。どのような展開が待っているのだろう。
■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。
■放送情報
『ゼロ 一獲千金ゲーム』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜
出演:加藤シゲアキ(NEWS)、間宮祥太朗、小関裕太、加藤諒、岡山天音、杉野遥亮、ケンドーコバヤシ、梅沢富美男、小池栄子、佐藤龍我
原作:福本伸行
脚本:小原信治
演出:丸谷俊平
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
制作協力:オフィスクレッシェンド
(c)日本テレビ
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/0/