窪田正孝の“ヒモ男”っぷりがとにかく憎めない! 『ヒモメン』の可愛らしさに視聴者歓喜

『ヒモメン 』窪田正孝のヒモっぷりに歓喜

 また窪田演じる翔ちゃんの憎めなさは、その潔さにもあるのではないだろうか。ゆり子が看護師をクビになるかもしれない瀬戸際で登場した翔ちゃんは、ハキハキとした物言いでこう言う。

「俺は無職です!」

 その堂々たる発言っぷりに度肝を抜かれる。この台詞を発したときの窪田の目に、一切の迷いがなかった。もちろんオチとしては、堂々と「無職」を発信しすぎた結果、ゆり子から「調子にのるな」とビンタを食らう羽目になるのだが、この正直すぎる翔ちゃんの姿に惚れ惚れしてしまう。この翔ちゃんの潔さが、翔ちゃんを更生したいゆり子の目の前に立ちはだかる障壁となるだろう。

 「顔芸」と呼ばれるほど激しい表情変化はないものの、ダメンズ臭漂う翔ちゃんの表情は見ていて面白い。ゆり子に強く追求される度、目をそらし、適当なことを言って言い逃れようとする表情は、可愛らしくもあり憎たらしさも感じる。お金がかかることに対しては、目を見開き「たっか!!!」と全力でツッコミを入れる。パチンコ屋に姿を消すときには、根拠のない自信を浮かべた彼の表情に、この先のダメな展開が読めて笑いがこみ上げてくる。

 「ゆり子のための時間ならいっぱいあるから」と話す翔ちゃんにゆり子はメロメロだが、冷静になって考えると、この台詞も決してロマンチックではない。しかしリラックスした様子で翔ちゃんを演じる窪田には嫌味がない。冷静になると「時間があるなら働けよ」と言いたくなるところだが、自然体で嫌味のない窪田の演技を見ていると、ゆり子のようについ許してしまう。次回以降も、ゆり子は翔ちゃんに振り回されるのだろう。私たち視聴者も翔ちゃんのペースに飲まれないよう、窪田ののびのびとした演技に見惚れすぎないようにしなければ。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
『ヒモメン』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:15~深夜0:05放送
出演:窪田正孝、川口春奈、勝地涼、佐藤仁美、YOU、金田明夫、岡田結実、片瀬那奈
ゼネラルプロデューサー:横地郁英
プロデューサー:秋山貴人・河野美里
原作:鴻池剛『ヒモメン~ヒモ更生プログラム~』(MFコミックス フラッパーシリーズ/KADOKAWA刊)
脚本:森ハヤシほか
音楽:井筒昭雄
演出:片山修ほか
制作:テレビ朝日 
制作協力:ホリプロ
(c)テレビ朝日
公式サイト:http://www.tv-asahi.co.jp/himomen/

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