石原さとみ、『アンナチュラル』と対照的な役に 『高嶺の花』が描く“おいしい”と感じる喜び

『高嶺の花』が描く食事の喜び

 ただ本作の中で少し疑問に残った部分もある。それは容姿に対する描き方だ。心に問題を抱える中学生・宗太に対して、お腹をつまみながら言う「お風呂上がりに鏡も見ないでしょ」というももの発言や、お見合い相手の特徴的な胸を「バルーン」と呼ぶシーンなど、身体的特徴から人を判断するシーンがあったが、それは少々オールドファッションな気がする。この描写が登場人物を改心させる一要素であってくれることを願いたい。

 ところで、序盤で寝不足のももをななが起こしに来るシーンで、ももは朝まで起きていた理由として海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の名前を挙げていた。『ウォーキング・デッド』でも『ストレンジャー・シングス 未知の世界』でもなく、あえてのHBO作品『ゲーム・オブ・スローンズ』であるところに、ももへの好感度が思わず上がる。

 『高嶺の花』はHuluで見逃し配信されているが、実は『ゲーム・オブ・スローンズ』もシーズン7まで配信しているのはHulu。ここが繋がっているからかと疑ってしまえど、人がたくさん死ぬ重たい『ゲーム・オブ・スローンズ』廃人と化す石原さとみの姿は、純粋に海外ドラマ好きにとって軽いサプライズだった。

 さて、小野小町の「花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに」で幕を閉じた第1話。自身の美貌の衰えを花に重ねたこの歌とは裏腹に、ももは甦った嗅覚で花の香りを存分に楽しみながら凛とした美しさを見せつける。そんな返り咲いた高嶺の花には、どんな虫たちが群がってくるのだろうか。

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(文=阿部桜子)

■放送情報
『高嶺の花』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00放送
出演:石原さとみ、峯田和伸、芳根京子、千葉雄大/升毅、十朱幸代/戸田菜穂、小日向文世ほか
脚本:野島伸司
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:松原浩、鈴木亜希乃、渡邉浩仁
演出:大塚恭司、狩山俊輔、岩崎マリエ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/takanenohana/

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