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長瀬智也、ディーン・フジオカ、高橋一生の大人の色気が彩る 『空飛ぶタイヤ』三者三様の魅力

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 初登場から2週続けて興行ランキング2位と、好調な滑り出しとなった『空飛ぶタイヤ』。『半沢直樹』『下町ロケット』『陸王』(全てTBS系)、そして『民王』(テレビ朝日系)など、手がけた小説が次々と実写化され、ことごとく大ヒットを飛ばす池井戸潤による小説初の映画化作品であるが、主演の長瀬智也を筆頭に、ディーン・フジオカや高橋一生といった面々が、大人の色気で作品を彩っている。

 長瀬が演じるのは、主人公の赤松徳郎。運送会社の社長である彼は、従業員が運転するトレーラーが脱輪事故を起こしたことから、一歩たりとも引けない戦いに足を踏み入れていくこととなる。長瀬が映画に出演するのは、ちょうど2年前に公開された『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(2016)以来。監督・脚本を務めた宮藤官九郎作品らしいアッパーなノリの作風に、地獄に存在するロックバンド・地獄図(ヘルズ)のリーダーの赤鬼という特異な設定ながら見事に溶け込んでいた。それまでにも『池袋ウエストゲートパーク』(2010・TBS系)をはじめとし、『真夜中の弥次さん喜多さん』(2005)などで工藤とコラボを重ねてきたたことや、TV番組で見せるフランクなキャラクター像も相まって、どちらかと言えばコミカルな印象が強かった。だが昨年の夏季クールに放送された『ごめん、愛してる』(TBS系)では繊細さを垣間見せていたように、硬軟自在な俳優であるのは多くの方が知るところである。

 そんな彼が“硬質”な演技を高めたのが、今作『空飛ぶタイヤ』だ。つねに見せる渋い表情は、彼の置かれた状況の苛酷さをダイレクトに伝え、野太い声には、前に立つ者の覚悟を感じる。覚悟というのは、仲間と家族を守るための赤松のものであり、同時に主役を張った長瀬自身のもののようにも思えてくる。間もなく40代に突入する彼だが、今後も骨太作品で魅せてくれそうな、そんな展望を予感させる好演であった。

 ディーンが演じるのは、件のトレーラーを製造した大手自動車会社・ホープ自動車のカスタマー戦略課課長である沢田悠太。赤松の存在を疎ましく思いながらも、彼は彼で社内での調査を進め、大企業内に隠されていた真実に次第に気づいていく。

 ディーンと言えば、オールインドネシアロケを敢行した主演作『海を駆ける』も現在公開中で、“海から上がってきた日本人”という浮世離れした得体の知れない人物・ラウをミステリアスに演じている。彼の持つポーカーフェイスは、ラウの持つ得体の知れなさに見事にハマり、その表情からは感情を読みとることができず、恐ろしくもあるが、同時にどこか懐かしさも感じさせる。そんなディーン自身の佇まいが活かされたラウ役とは対照的に、本作の沢田は泥臭く奔走する。その声と表情に感じるクールさが片時もぶれないディーンだからこそ、演じる沢田が起こす必死な行動とのズレが、彼の内に秘めた情熱として眼に映り、見る者の胸を打つ。

      

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