稲森いずみ、山口紗弥加、岸井ゆきの、桜井ユキ 『モンテ・クリスト伯』“覚醒”する女優たち

『モンテ・クリスト伯』狂気の女優たち

岸井ゆきの(入間未蘭)&桜井ユキ(江田愛梨役)

 そして、瑛理奈が隠し持つ毒が次に使われるとしたら、それは継子の未蘭(岸井ゆきの)を置いてほかにはいない。入間家の箱入り娘として従順に育った未蘭と継母・瑛理奈の関係は、白雪姫と継母を想起させる。また、この物語において唯一の癒しであり、ほのぼのした会話で和ませてくれるのは、未蘭と守尾信一朗(高杉真宙)が寄り添う場面だが、未蘭の父・公平は2人の関係を認めるはずがない。未蘭と信一朗は、いわばロミオとジュリエット。岸井は、控えめながら好感度の高いキャラクターを地に足の着いた演技で役にリアリティを持たせている。このカップルは応援しなければと強く思わせる。

 この作品においては、原作にある女性キャラクターの魅力と個性を生かし、輝く女優たち。その中でも本作で異彩を放つのは江田愛梨役の桜井ユキだろう。昼間は有能なマネージャーとして大倉忠義演じる南条幸男やその家族のために働き、夜は真海の隣が自分の居場所とばかりに寄り添い、彼にくっついて過ごす。

 純粋で爽やかな未蘭(岸井ゆきの)と信一朗(高杉真宙)と対照的に、真海と愛梨は復讐によって結びついている。南条の裏切りにより不幸のどん底に突き落とされた愛梨にとって真海への愛は危険で歪んでもいる。第7話以降、彼女が復讐にどう絡んでいくのか。危険な香り漂う演技は必見だ。

■池沢奈々見
恋愛ライター、コラムニスト。

■放送情報
木曜劇場『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:ディーン・フジオカ、大倉忠義、山本美月、高杉真宙、葉山奨之、岸井ゆきの、渋川清彦、桜井ユキ、三浦誠己、新井浩文、田中泯、風吹ジュン、木下ほうか、山口紗弥加、伊武雅刀、稲森いずみ、高橋克典
原作:アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯』
脚本:黒岩勉
プロデュース:太田大、荒井俊雄
演出:西谷弘、野田悠介、永山耕三
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/MONTE-CRISTO/index.html

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