好きな小ネタから撮影裏話まで 主演タイ・シェリダンが語る『レディ・プレイヤー1』
映画『レディ・プレイヤー1』が4月20日から公開された。スティーヴン・スピルバーグが監督を務めた本作は、VR世界“オアシス”だけを希望に生きる人々が暮らす2045年が舞台。ある日、“オアシス”の創設者ジェームズ・ハリデーが亡くなり、“オアシス”内に隠した3つの鍵を一番最初に見つけた者に経営権と56兆円が贈られるという遺言が全世界に公開。17歳のウェイドとその仲間たちは、必死に謎を解き明かそうと奮闘する。
今回リアルサウンド映画部では、主人公ウェイド役を務めたタイ・シェリダンにインタビュー。モーションキャプチャーを使った撮影や、イースターエッグ(小ネタ)についてなどを語ってもらった。
「日本のイースターエッグのシーンは、みんな発狂するほど喜ぶんだ(笑)」
ーー同一人物といえど、ウェイドとそのアバターであるパーシヴァルの性格は異なっていますよね。演じ分ける上で工夫はありましたか?
タイ・シェリダン(以下、シェリダン):ウェイドを見たときに、彼の中に2つのキャラクターがあることを感じてほしかったんだけど、演技のアプローチとしては全く違うキャラクターを演じる方法を取ったんだ。どうしてかと言うと、最初にウェイドが登場する場所と、パーシヴァルが出てくるところは、まったく違うからね。
ーー“オアシス”のシーンは、どのように撮影されたのでしょう?
シェリダン:モーションキャプチャーを使っていたんだけれど、実は最初の8週間で撮影し終えちゃったんだよね。つまりウェイドを演じる前に、パーシヴァルの撮影は終わっていたんだ。ストーリーの中では、バーチャルと現実の世界を行ったり来たりするよね? だから、この2つの世界を分断されたものではなく、綺麗に繋げなければならなかったんだよ。それにバーチャルと現実の世界が重なるシーンがあるから、モーションキャプチャーで何をやったか自分で覚えておかないといけなかったんだ。だから12人くらいの人がモーションキャプチャーでの演技をメモに取って、現実パートの細かいところまでチェックしていたよ。
ーーモーションキャプチャーの撮影は、今回が初めてだったんですか?
シェリダン:僕はそうだったね。スピルバーグは、『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』や『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』でモーションキャプチャーを使っているからとても慣れていたよ。あと、マーク・ライランスが『BFG』で経験していたね。でもこの映画では、スピルバーグが初めて使う技術もたくさんあるんだ。だから『レディ・プレイヤー1』は、ほかの映画でも使われていない最新のテクノロジーを駆使した映画なんだよ。僕は、最終的にどういう画になるのかをリアルタイムで見ながら、モーションキャプチャーのスペースで演技をしていたんだ。
ーーそんな撮影を経て、出来上がった本作には驚いたのではないでしょうか。
シェリダン:オリヴィア・クックと2人で観たんだけれど、あまりにも驚きが多くて、言葉もなかったよ……。アニメーションが本当に素晴らしかった。俳優っていうのは、自分が出演した作品を観ることに少しためらいがあるから、観客として観るっていうのはすごく難しいんだよね。でも驚いたことに『レディ・プレイヤー1』は、自分が出ていることを忘れて没頭することができた。とても特別な経験だったね。
ーー劇中ではたくさんの80年代カルチャーが登場しますが、あなたが生まれる前の出来事ですよね。
シェリダン:映画のオマージュはもともと知っていたんだ。でも、アーネスト・クラインの原作小説『ゲームウォーズ』は80年代のカルチャーを学ぶのにとても役に立ったね。80年代に生きていたとしても絶対知らないようなことが、この小説の中には書かれているんだ。その中にも、僕が知っていたものもあるんだよ! 劇中に、“ある映画”の中に入り込むシーンがあったよね? あの映画は撮影前にもう1度観たよ。昔の作品を観るのってすごく楽しいんだ。子供の頃観たものを大人になってもう1度観ると、違う意味を持ってくるんだ。でも、80年代の音楽だけは知らなかったから、ブラッシュアップしたよ。
ーー数々のイースターエッグの中で、お気に入りはありましたか?
シェリダン:やっぱり『アイアン・ジャイアント』かな。本当に何度も何度も繰り返して、多分100回以上観ているよ。僕としてはこのキャラクターに特別な感情を抱いているね。アイアン・ジャイアントが僕が演じたパーシヴァルの隣に立っていて、さらにスティーヴン・スピルバーグが監督した映画に出ただなんて信じられない思いだったよ。
ーー日本に関するイースターエッグもたくさん出てきますが、日本のアニメはもともと知っていたんですか?
シェリダン:もちろん知っていたよ。世界各地でプレミアをやってきたけれど、日本のイースターエッグが出てくるシーンは、みんな発狂するほど喜ぶんだ(笑)。みんなの日本のアニメに対する愛はとても強いよ。だから僕も興味を持つようになったんだけど、今まで観た中で好きだったのは『君の名は。』だね。現実的でヒューマンドラマを描いた作品が好きなんだ。
ーーそんな懐かしいものもたくさん出てくる中、未来を舞台に現在の問題に触れている気がしました。
シェリダン:この映画は、今起きていることを描いていると僕は思っているんだ。今は常にデジタルで繋がっている時代だよね。この作品では、未来の物語の中に現代へのメタファーが描かれている。例えば“オアシス”の存在は、今あるデジタルプラットフォームに似たところがあるよね。今は2018年だけど、テーマが普遍的だから、長い間みんなに共感してもらえる作品になったと思うよ。