“ピュアさ”を巧みに操る永野芽郁 『半分、青い。』などで見せる女子高生役の威力
2018年4月2日から始まったNHK連続テレビ小説『半分、青い。』。主人公・楡野鈴愛の片耳が聴こえなくなるまでの幼少期を描いたパートが終わり、高校3年となった鈴愛が活躍する第3週「恋したい!」がスタートした。そこで今回は、本格的に登場となるヒロインの永野芽郁の成長と魅力について考察してみたいと思う。
永野は東京都出身、1999年9月24日生まれの現在18歳。小学3年生のときにスカウトで芸能界入りし、子役としてデビュー。ファッション誌『ニコ☆プチ』や『nicola』を経て、『Seventeen』の専属モデルとして活躍をしているので、同世代の女の子たちにとっては憧れの存在だと思われるが、一般的に知られたのは、おそらく2016年から続く深田恭子と多部未華子との3姉妹役を演じた「UQモバイル」のCMからではないだろうか。
同CMで、“フカキョン”や“多部ちゃん”の愛称で親しまれる国民的女優に並んだ彼女は、「あの妹役は誰なんだ?」と注目の的に。また、2人に負けないオーラを放っていたのも事実で、朝ドラヒロインに抜擢されるのも納得だ。2016年からはカルピスウォーターの13代目イメージキャラクターに選ばれるなど、純朴で、恋愛に積極的で、明るい性格の女子高生を演じることが多い永野は、普通にいそうな学生役が実にハマる。
そのイメージが定着したのは、鈴木亮平主演の『俺物語!!』でのヒロイン・大和凛子役だろう。男臭く正義感の塊である主人公・剛田猛男(鈴木)と大和は、お互い一目惚れするが、ゴツい容姿から女子にモテた経験のない猛男は、大和が惚れているのはイケメンの親友・砂川誠(坂口健太郎)だと勘違いし、2人はすれ違っていく。一途に猛男を思う大和の健気さは、ピュアがゆえの積極さもあって、あざとくなってもおかしくない。しかし、永野が持つ天性のフワッとした雰囲気と、明るい笑顔で振る舞う自然な演技は、実に好感が持てるゆえ、素直に2人を応援したくなるのである。
当時16歳の永野の演技は、30代で高校生を演じる怪優・鈴木の濃いキャラを見事に浄化しており、女優として将来を約束されたと言ってもおかしくないほどだった。翌年に連続ドラマ初主演となった『こえ恋』(テレビ東京系)では、紙袋をかぶった状態で登校をしている松原くんに恋をする女子高生役で、しかも松原はアテレコなので2人のシーンはほぼ永野の一人芝居となっている。そんな状況でも、『俺物語!!』などで見せた彼女の自然体の演技は一つの恋愛劇として成立させている。永野の持つピュアさは、ありえない状況でも日常ドラマに変えてしまうことを再確認させる。
そして本人も代表作と言う初主演映画『ひるなかの流星』では、田舎から上京してきた高校生役で、担任の教師に恋をしクラスメイトの男子と三角関係になるという禁断の恋を、これもまた田舎から出て来た素朴さが永野のキャラに合い、ほっこりすものにさせている。また最初は垢抜けない容姿だったのが、ちょっとしたメイクで美しくなる姿に、今まで気づかなかった隣の女子の可愛さに気づいてしまうような、日常でありそうなドキッとする瞬間を永野は見事に表現している。