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CMを短編映画に変えてしまう存在感! 文学的香りを放つ俳優・井之脇海

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 第41回創作テレビドラマ大賞『デッドフレイ~青い殺意~』(NHK/3月23日放送、29日22時~再放送)でドラマ初主演を務めている井之脇海が、気になって仕方ない。

 まだ名前は知らなくとも、顔を見たことのある人は多いのではないだろうか。

 『午後の紅茶』のCMで上白石萌歌と共演、ホームで歌うところに電車が到着、「声でかすぎ」とほほ笑む男子高校生や(2016年冬)、川辺で歌う傍らを走り抜けていく野球少年(2016年夏)、遠く離れた場所から空を仰ぎ見て「会いたいな」と呟くニット帽姿の少年(2017年冬)の姿に、甘酸っぱい気持ちを呼び起こされ、キュンとしてしまった人はたくさんいるだろう。

 また、深津絵里が出演するPascoの『超熟』CM「カレーサンド篇」で、眼鏡+ベスト姿に背中に大きな楽器を抱えて登場、パンにかじりついて「うまっ」と小さく呟く文科系男子を演じているのも、彼だ。いずれもわずか15秒~30秒のCMでありながら、短編映画のようなノスタルジーを感じさせる存在感。物語性の強いCMに起用される理由は、井之脇の放つ文学的香りが影響していると思う。

 朝ドラ『ひよっこ』(NHK)では、ヒロインらが勤める向島電機コーラス部の指導者で、音楽家を目指す、ちょっと頼りなくて女心に疎い高島雄大を演じていた。大河ドラマ『おんな城主直虎』(NHK)では、菅田将暉演じる万千代(井伊直政)の相棒・万福を好演。激しく暴走しがちな「動」の万千代に対し、それを抑える控えめで「静」の演技を見せ、名バディ感が話題を集めた。菅田とは、NHKの朝ドラ『ごちそうさん』や、映画『帝一の國』、『あゝ、荒野』などでも共演している。

 実は劇団ひまわりに所属していた、子役出身のベテランであり、黒沢清監督の映画『トウキョウソナタ』(2008)では、小学6年生の天才ピアニストを演じ、キネマ旬報ベストテン新人男優賞を受賞した経歴の持ち主だ。

 太い眉に小さな目、和風で素朴で、誠実そうな犬っぽい顔。

 ただし、一般的に「犬系(犬っぽい、犬顔)俳優」と言われるタイプは、二宮和也や妻夫木聡、小池徹平、若手なら千葉雄大や、『ひよっこ』三男役で一気に知名度を上げた泉澤祐希など、「黒目がちで小柄な可愛いタイプ」が多い。それに対して、井之脇は、身長177センチと長身で、やや三白眼にも見える白眼の印象的な犬顔。

 「可愛い愛玩犬」ではなく、心や体に傷を負っていそうな、警戒心の強さや寂しさ、孤独を感じさせる捨て犬感がある。それでいて、スキがあって無防備で、子どものように純粋で、脆さも感じさせる。

 『トウキョウソナタ』では、ごく普通の家族の崩壊から再生への道のりが描かれた。崩壊した家庭において、井之脇演じるピアノの天才少年は、家族みんながすがりつく「希望」そのものだった。同じく黒沢清監督のWOWOWドラマ『贖罪』第3話「くまの兄妹」では、同級生が殺害された事件のショックから、引きこもりになるヒロインの兄役で出演。成長後は加瀬亮が演じたが、ヒロインの精神のバランスを崩壊させる兄の様子は、恐ろしさと悲しさに満ちていた。

      

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