ヒュー・グラント&ヒュー・ボネヴィルが語る、『パディントン2』に込められたメッセージ

『パディントン2』インタビュー

 「僕たちにとって、とても切ないことだった」

左から、ポール・キング監督とマイケル・ボンド

 2017年6月27日、残念ながら原作者のボンドは息を引き取った。その日『パディントン2』チームは追加撮影のクランクアップを迎えた日で、「僕たちにとって、とても切ないことだった」とボネヴィルは語る。ボンドは1作目から非常にこのシリーズを気に入って、本作を制作する過程でもずっとキング監督と話し合いながら作り上げていったそう。ボンドのレガシーを受け継いだ彼の娘からも、「父は、本作を気に入ってくれるわ」と太鼓判を押されたと言う。「監督として、パディントンとこの世界を生み出した神様に見てもらいたかったと思うよ」と、ボンドの死を悼んだ。

 また、ボンドの葬儀が行われたのは本作の劇中でも出てくるセント・ポール大聖堂だったこともボネヴィルが明かしてくれた。劇中に出てくるだけでなく、ボンドの遺作となる新刊『Paddington at St. Paul's』のタイトルにもセント・ポール大聖堂の名前が入っており、ボンドにとって思い入れのある場所で別れを告げることができたそうだ。

 前作でブラウン一家の家族になったパディントンだったが、本作では近所の一部の人々から街への受け入れを拒絶されている。移民問題を抱えるイギリスのみならず、多様性が重視される世界にとって本作から伝わるメッセージは非常に重要なものだ。

 ボネヴィルによれば、ボンドがパディントンを生み出したインスピレーションは大きく2つあるらしい。1つはボンドが戦時中に疎開する子供たちがガスマスクを付けている風景を見たことで、それは前作で「このクマをよろしく」と首に札を下げていたパディントンに見立てることができると語る。また2つめは、ボンドが住んでいた西ロンドンにはカリブ海の移民がとても多く、様々な文化がぶつかり合う時代を過ごしたことに理由があるらしい。

 外国からやってきたパディントンを優しい人々が手を差し伸べ、出会うという物語になっている同シリーズ。ファンタジーではあるけれど、そこにあるメッセージは現実の世界でも見つけることができるとボネヴィルは語り、「この作品を観て、寛容性だったり人の中に善を見つけることの大切さを感じてもらえているのなら、それはいいことだと思うよ」とコメントしている。

(取材・文=阿部桜子)

■公開情報
『パディントン2』
全国公開中
出演:ベン・ウィショー(声の出演)、ヒュー・グラント、ブレンダン・グリーソン、ヒュー・ボネヴィル、サリー・ホーキンスほか
日本語吹替版キャスト:松坂桃李、古田新太、三戸なつめ、斎藤工
監督:ポール・キング
製作:デヴィッド・ハイマン
原作:マイケル・ボンド
配給:キノフィルムズ
(c)2017 STUDIOCANAL S.A.S All Rights Reserved.
公式サイト:http://paddington-movie.jp/

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