映画における“いいラブシーン”とは何か? 地下アイドル・姫乃たまが考察

姫乃たまにとってのラブシーンとは?

 数々のエロティックな名シーンが詰まっている『お嬢さん』も、お嬢さんの女性器を舐めようとする女中の顔を、女性器の視点から捉えた斬新なカメラワークが最も印象的に残りました。

『お嬢さん』(c)2016 CJ E&M CORPORATION, MOHO FILM, YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED

  どちらのシーンにも性衝動に突き動かされている人間の滑稽さがあって、それに対する愛おしさと羨望を感じられるのが、私にとってのいいラブシーンなんだと思います。

 ちなみに私がこれまで映画を観なかったのは、もともと活字ばかり読んでいる子供だったからです。

 映画になると映像と音と役者の演技と、急に情報量が増えるので、すべての効果や意図を汲める自信が持てずに避けてきました。活字を読んでいる時は、頭の中で勝手に絵を補正するのも楽しく、書いてあることとは異なるイメージを思い浮かべながら読んでいる時もあります。

 映画は私が想像しなくてもイメージを与えてきます。今回挙げたラブシーンはどれもカメラワークの展開が読めないもので、相手が想定していない動きをしてくるという点では現実の性行為と同じです。だから楽しめる、というまとめでいいのでしょうか。なんだか年始にすみません。今年もみなさんがよい一年を過ごせるように、いいラブシーンに出会えるように願っています。

■姫乃たま(ひめの たま)
地下アイドル/ライター。1993年2月12日、下北沢生まれ。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへの出演を中心に、文筆業も営む。音楽ユニット「僕とジョルジュ」では、作詞と歌唱を手がけており、主な音楽作品に『First Order』『もしもし、今日はどうだった』、僕とジョルジュ名義で『僕とジョルジュ』『僕とジョルジュ2』、著書に『職業としての地下アイドル』(朝日新書)『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)がある。

Twitter ● https://twitter.com/Himeeeno

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