東出昌大、福士蒼汰、工藤阿須加……2017年、“怪演”で注目を集めたイケメン俳優たち
2017年のTVドラマ界では、さまざまな俳優たちが突如としてこれまでのイメージを覆す演技を見せ、大きな話題となった。彼らの中には、その“怪演”によって役者としての評価を高め、新たなステージへと進んだ者もいる。ここでは、今年とりわけ視聴者を騒然とさせた3人の俳優をあげて、その演技を考察したい。
東出昌大
東出昌大は今年の春、4月クールにスタートしたドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)で、中学時代の同級生・有島光軌(鈴木伸之)との不倫に走る渡辺美都(波留)を、一途に愛し続けた夫・渡辺涼太役を演じたことで、大きな注目を集めた。美都は、“柴犬のような”涼太に対してはどんなにひどいことをしても、自分を噛むことはもちろん吠えることさえないと安心しきっていた。
しかし、美都が寝てる間に、涼太は彼女のスマホのアドレス帳チェックを夜な夜な続けていた。画面を見る表情は嫉妬と狂気に満ちたもので、美都に固執する涼太の行動は、その後も徐々にエスカレート。豹変していく姿に怯える視聴者も多かったのではないだろうか。涼太は一見すると好青年だからこそ、その異常な行動との間にギャップがあり、サイコな雰囲気さえ漂わせていた。
特にインパクトがあったのは、“笑いながら怒る”演技だ。硬派でありながらどこか柔和なイメージがあった東出だからこそ、“笑顔”と“怒り”の合わせ技はより一層効果的である。東出は黒沢清監督の映画『予兆 散歩する侵略者』でも、人から概念を奪っていく“侵略者”として、狂気じみた表情を見せていた。こうした路線は今後、東出の得意とするところとして視聴者に浸透していきそうだ。
福士蒼汰
『愛したって、秘密はある。』(日本テレビ系)では、主演を務めた福士蒼汰が最終回で見せた変貌ぶりに驚いた人も多かったのではないだろうか。 父親を殺した罪の意識を抱えて生きる黎と、突如出現した朔という別人格。心優しくまじめな黎を演じているときの福士は、黎の揺れ動く感情を繊細に表現しており、従来のイメージを壊すことは無かった。
それが朔になると、「死んで当然だろ、あんなクズ親父」と高笑い。黎とその恋人である爽の関係には、「どうやって潰そうか、黎の結婚」と言って目をギラギラと光らせる。福士は、自己中心的で傲慢な朔を、目を見開いた狂気的な表情で体現して見せた。
はにかむような笑顔が印象的な爽やかイケメンの福士が、同じ笑顔でここまで恐怖を感じさせることができるのかと、底知れぬ演技力に度肝を抜かれた。今後、サスペンスやホラーといったジャンルで、さらに活躍の場を拡げる可能性もありそうだ。