アニメ映画『GODZILLA』は第二部以降が“本命”に 怪獣映画にアニメのメリットどう生かした?

『GODZILLA』第二部以降が“本命”に

 「怪獣映画」は「始めるに難しく、終わるに難しい」。どういう理由で登場したかはその怪獣のアイデンティティの大きな部分を構成するし、キャラクターと怪獣の間の関係性をどう構築するかという高いハードルを越えないと、物語がいかに終わるかも見えてこない。なかなかにハードルが高い題材だ。

 『GODZILLA 怪獣惑星』は、『シドニアの騎士』『BLAME!』を制作したポリゴン・ピクチュアズによる3DCGで描く“ゴジラ”だ。

 本作が舞台とするのは遠未来の地球。

 20世紀末から様々な怪獣の襲撃に見舞われた人類は、その勢力範囲を次第に狭め、ついにはゴジラの登場によって絶滅の危機にまで追い詰められる。そこで人類は、宇宙船アラトラム号によって一部の人類をくじら座のタウ星eまで脱出させる。20年の歳月をかけてアラトラム号はくじら座タウ星eに到着するが、そこは予想を裏切り、人類が生存可能な環境と呼べるものではなかった。生存環境も劣悪となった船内では「地球帰還派」が主流となり、危険な長距離亜空間航行を決断し、地球へと帰還する。だが、帰還した地球は、既に二万年の歳月が経過し、地上はゴジラを頂点とした生態系による未知の世界となっていた。

 このあらすじからもわかる通り、本作は「始めるに難しい」題材に対し、作品世界観の成り立ちを丁寧に追いかけることで対応している。それはスタッフインタビューなどでも再三説明されている通り、「現実の風景を活用する特撮」と異なり、まったくの異世界を構築できるアニメのメリットを生かしていくためにはどうしても必要な手続きといえる。

 本作はこうして人類が置かれた状況を説明した上で、2万年後の地球でのゴジラとの戦いを描く。戦いの中心になるのが、4歳の時にゴジラに両親を殺された青年ハルオ・サカキ。ただし、本作で描かれる戦いはいわばインパクトあるヒキを持った“第一ラウンド”で、本シリーズが目指すものはむしろ第二部以降が“本命”なのではないか。

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