アニメ映画『GODZILLA』は第二部以降が“本命”に 怪獣映画にアニメのメリットどう生かした?

『GODZILLA』第二部以降が“本命”に

 本作には人類と共存している宇宙人が2種族出てくる。屈強な身体を持つビルサルドは、『ゴジラ対メカゴジラ』のブラックホール第3惑星人を、宗教をベースにした社会を持つエクシフは『怪獣大戦争』のX星人をヒントに造形されている。メカゴジラの登場はすでにほのめかされていることからすると、『怪獣大戦争』を踏まえたバトル要素も今後登場するのではないかと期待させる。

 だがそれ以上に気になるのは「終わるに難しい」のほうだ。

 ハルオのゴジラへの復讐心は物語を牽引する要因として描かれている。では、ハルオがゴジラを倒せばこの物語は完結しうるのか。そんなことはない。それでは2万年の遠い未来で、全体がいわばゴジライゼーション化した地球を舞台にした意味はない。ここまで大きな風呂敷を広げたということは、ゴジラ単体というより、ゴジラが象徴する巨大な生態系と人類をめぐる物語になるのではないか。

 巨大な生態系と相対したハルオが「救世の英雄」と讃えられるのか、「歴史の一コマの目撃者」となるのか、あるいは「ゴジラに呪われたものの象徴」として生きるのか。

 『GODZILLA』の注目点はそこにあると思う。

■藤津亮太
1968年生まれ。アニメ評論家。著書に『「アニメ評論家」宣言』(扶桑社)、『チャンネルはいつもアニメ』(NTT出版)、『声優語』(一迅社)がある。アニメ!アニメ!にてアニメ時評「アニメの門V」を連載中。Twitter

■公開情報
『GODZILLA 怪獣惑星』
全国公開中
監督:静野孔文、瀬下寛之
ストーリー原案・脚本:虚淵玄(ニトロプラス)
音楽:服部隆之
出演:宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、諏訪部順一、小野大輔、三宅健太、堀内賢雄、中井和哉、山路和弘ほか
主題歌;「WHITE OUT」XAI(TOHO animation RECORDS)
配給:東宝映像事業部
(c)2017 TOHO CO., LTD.
公式サイト:http://godzilla-anime.com

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