米ホラー映画『IT/イット』なぜ10代女性にヒット? 映画マーケティング専門家が分析
「もしかすると今後、こういったコンセプト型のホラー映画が増えるかもしれません。ちょうど先日、AFM(American Film Market)でのカンファレンスに参加していたのですが、ホラージャンルへの注目度が高まっていることを感じました。カンファレンスの登壇者の話で多く触れられていたのは、アメリカのインディペンデントの製作者にとっては予算の縮小が悩みの種ということ。そんな中、多くの低予算ホラー映画を製作し、5億ドルの予算で200億を超えたホラー映画『ゲット・アウト』などのスマッシュヒットも飛び出した製作会社ブラムハウス・ピクチャーズの成功を口にするプロデューサーも多かったです。ホラーはそもそも低予算で製作することが可能で、一定数のお客さんが見込めるものです。なおかつ、コンセプトの面白さが引き金となりうまくはじけることも比較的多く、その場合、非常に大きな利益をもたらす可能性があるということに改めて注目が集まっていました。『限られた予算』という悩みはアメリカも日本も同じでしょう。今後はより一層、ホラーというジャンルが『鉱脈』として意識されるかもしれません」
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は、80年代のアメリカを舞台に少年少女たちが、子どもにしか見ることができない殺人ピエロ・ペニーワイズの謎に挑む物語で、同じくスティーヴン・キング原作の『スタンド・バイ・ミー』のホラー版といえる作品だ。YouTubeの予告動画では、下水道に潜むペニーワイズの姿など、斬新な恐怖演出の一部を確認することができる。ジュブナイル映画としても楽しめる間口の広さや、映像的な面白さもまた、若年層の鑑賞意欲を高めたのかもしれない。
(文=松田広宣)
■公開情報
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』
全国公開中
監督・脚本:アンディ・ムスキエティ
出演:ジェイデン・リーバハー、ビル・スカルスガルド、フィン・ウルフハード、ソフィア・リリスほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
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