『ザ・サークル』監督インタビュー 「エマ・ワトソンが自身の経験を語ってくれたのが助けになった」

『ザ・サークル』ポンソルト監督インタビュー

「エマが自身の経験をオープンに語ってくれたのが大きな助けになった」

ーーメイは自身の生活を24時間SNSで公開することになります。この設定は2700万を超えるTwitterフォロワー数を誇るエマ・ワトソン自身と重なる部分もありますが、彼女とはどのようにこのメイというキャラクターを作り上げていったのでしょうか。

ポンソルト:メイのキャラクターは原作の中でかなり細かい部分まで表現されていたんだ。だから、原作が僕らのスタート地点になったのはもちろんなんだけど、エマが自分自身の経験をオープンに語ってくれたのが大きな助けになった。若くしてプライバシーを失って、すべての行動をカメラで撮られて、あっという間にネットに広がってしまう。彼女自身がそういう経験をしているからこそ、この作品の核となるプライバシーと監視社会に関して、彼女は自分なりの視点を持っていた。だからと言ってSNSを使わないというわけではなく、政治やジェンダーに関する意見も発信している。彼女はテクノロジーやインターネット、プライバシー、監視社会など、現代社会のいいところと悪いところ深く理解していたから、そういった意味でも今回のエマとのコラボレーションは素晴らしかったね。

ーーSNSによって世界を改革しようとするカリスマ経営者のイーモン・ベイリーを演じたトム・ハンクスも、これまで彼が演じてきたキャラクターとは一味違う印象を受けました。

ポンソルト:僕はトムと一緒にいるとどうしてもこれまでに彼が演じてきた役柄を想起せずにはいられなかったんだけど、トム自身は、巨大IT会社のCEOでありながらカルトリーダー的なところもあるベイリーという、これまでとは違ったイメージの役柄をものすごく楽しみながら演じているようだった。トムは本当に謙虚な人なんだ。それに、彼は自分自身がどう見られているかもよくわかった上で、キャラクターに対して強い思いや考えを持って役に取り組んでいる。エマとトム、ビッグスターでありながら自分自身の確固たる考えを持った2人と今回一緒に仕事をすることができて、本当にいい経験になったよ。

(取材・文=宮川翔)

■公開情報
『ザ・サークル』
TOHOシネマズ 六本木ヒルズほかにて公開中
出演:エマ・ワトソン、トム・ハンクス、ジョン・ボイエガ、カレン・ギラン、エラー・コルトレーン、ビル・パクストン
監督・脚本:ジェームズ・ポンソルト
原作:デイヴ・エガーズ著「ザ・サークル」(早川書房)
音楽:ダニー・エルフマン
編集:リサ・ラセック
撮影:マシュー・リバティーク
美術:ジェラルド・サリバン
原題:「The Circle」/2017年/アメリカ/シネスコ/5.1chデジタル/110分
配給:ギャガ
(c)2017 IN Splitter, L.P. All Rights Reserved.
公式サイト:http://gaga.ne.jp/circle/

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