“ハッピーの悲劇”に視聴者も困惑!? 『やすらぎの郷』整合性のない展開にツッコミ
それでも、ハッピーの無念を晴らすための報復と見えればまだしもよかった。しかし、秀次たちのセリフはそうとは思えない意味不明のものも多く、見る者を困惑させた。以下、筆者の心のツッコミ付きで第99話のセリフを再現したい。
・報復を企む男性職員たちのたまり場を訪れ、原田が言った言葉
「(職員が報復して捕まったら)君たちが毎日介護してくれている年寄りの介護は誰がやります? あんた、年寄りを見捨てるつもりですか?」
(ええ? 自分たちが代わりに報復する理由はそれ? ハッピーがレイプされたことに憤りを感じているんじゃなくて?)
・報復を企む男性職員たちに、秀次が言った言葉
「楽しみを奪うようで悪いんですが、ここは私たちにまかせて、私たちの力を信じて、引いていただけますか」
(言っちゃっているよね、楽しみだと言っちゃっているよね。女性職員がレイプされて、復讐を名目に暴れられる。レイプされてラッキーって感じ?)
・レイプ犯たちに秀次が言った言葉、その1。
「集団自衛権、自主防衛。異国が攻めてきたら国を守るのはあんたら若者の務めでしょう。家族を守る務めがあるのに、同胞をいたぶってはいけません」
(いや、戦争は関係なくない? 家族=同国人を守る義務がなかったら、女性をいたぶってもいいんですかね? そもそも防衛のために戦う義務ってあるんでしたっけ?)
・レイプ犯たちに秀次が言った言葉、その2。
「覚えておきなさい。けんかはね、戦争です。戦後生まれのあんたらは知らんだろうけれども、戦争っていうのはこういうもんです」
(だから、戦争は関係ないでしょ。女性をレイプするのは戦時中だろうと平時だろうと、凶悪な犯罪でしょうよ)
・レイプ犯たちに秀次が言った言葉、その3。
「二度と女の子に悪さをできないように、あんたらのタマを潰させてもらいます」
(“悪さ”どころの話じゃないでしょー。スカートめくりのレベルで言わないで)
・レイプ犯たちをやっつけた後、秀次が言った言葉。
「でもね、私はあいつらが許せません……あいつらは私の顔も知らんのです!」
(うんうん……えっ!? 許せないのは、ハッピーをレイプしたからではなくて?)
なんだかおじいさんたちが若者に対して抱く鬱屈を晴らしただけにも思えたこの大活劇。この20週の締めくくりもひどかった。事件からたった3日でバーテンダーとして職場復帰したハッピーの様子を見に、菊村の言う「残酷な老人」たちがバーに集まる。3日前、菊村たちがバーの営業時間をオーバーして遅くまで飲んでいたことが、ハッピーがレイプされたことのひとつの要因となったのに、菊村はそれをわびることもしない(わびるべきだとも思っていない)。さらに、“お嬢”こと冴子(浅丘ルリ子)がハッピーを慰めようと思ってか、こう言うのだ。
冴子「忘れなさい。忘れるのが一番。忘れて女はね“女”になっていくのよ」
このセリフの真意をぜひ問いたい。これまでの描かれ方を見ると、「どうせ女は力では男にかないっこないんだから、襲われたらあきらめるしかない。そういうことはよく起こるの。そういう理不尽を飲み込んで、女性は虐げられる側としての立場を受け入れていくのよ」と言っているようにしか思えないのだが、違うのだろうか。