武井咲は米倉涼子を超えられるか? 脱・清純派ヒロイン目指す『黒革の手帖』の奮闘

 第1話の武井演じる原口元子は、行員として同僚たちの前で振舞う姿、派遣切りに遭い巨額横領に踏み切る姿、横領後に銀行の上司たちに取引を求める姿、お世話になった「燭台」のママ・岩村叡子(真矢ミキ)に自身のクラブオープンを宣言する姿など、いずれもその涼しい顔した冷静沈着ぶりの印象が強く残った。ただ例外として、借金完済を目前にしたファッションもカジュアルで、借金返済額10万円入れたリュックサックを大切そうに抱えている元子がひったくりに遭う場面、あそこで彼女が見せた焦燥感は、明らかにか弱き乙女が夜道の暴漢に向けたものではない。事実彼女は何度も「私のお金」と繰り返し、武井自身が“脱・清純派ヒロイン”を宣言しているとも受け取れる。

 第2話の予告では、やたらと激しい展開を予感させる。元子と同じく派遣切りに遭った山田波子(仲里依紗)も深く関わってくるようだ。ぜひとも元子を追い込んでもらい、元子がどう切り抜け、どうのし上がっていくのか、楽しみたい。それはもちろん今作で、これまでの清純派ヒロインのイメージを払拭し、数々の困難を乗り越えていくであろう武井に向けたエールでもある。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■放送情報
『黒革の手帖』
テレビ朝日系にて 毎週木曜21:00~
出演:武井咲、江口洋介、仲里依紗、滝藤賢一、和田正人、内藤理沙、高嶋政伸、真矢ミキ、高畑淳子、奥田瑛二、伊東四朗ほか
原作:松本清張『黒革の手帖』(新潮文庫刊)
脚本:羽原大介
監督:本橋圭太、片山修
ゼネラルプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日
公式サイト:http://www.tv-asahi.co.jp/kurokawanotecho/

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