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ジャンルを超えた傑作! イタリア人から観た『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』の魅力

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 2016年のイタリア・アカデミー賞「ダヴィッド・ディ・ドナテッロ」では、主演男優賞、主演女優賞、新人監督賞など、16部門にノミネートされ、7部門を受賞した映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』がとうとう日本の映画館に登場しました。

 些細な窃盗で生計を立てているエンツォは、ある日、追いかけられている警察から逃げるためテヴェレ川に飛び込み、ふとしたきっかけで超人的なパワーを手に入れます。最初は私利私欲のためにパワーを使っていたエンツォでしたが、日本のアニメ『鋼鉄ジーグ』の熱狂的なファンである女性アレッシアの面倒を見ることになり、彼女を守るために正義に目覚めるのです。

 あらすじだけを読むと、本作品はシンプルで型にはまったストーリーのように見えますが、イタリア初のスーパーヒーロー映画として脚光を浴びたうえに、イタリア人観客の中で非常に人気を博した映画です。そして2016年に日本で開催されたイタリア映画祭に上映された際に日本人観客の中でも注目を集めました。一体その人気の理由はどこにあるのでしょうか? また、イタリアの言葉と文化に詳しくない人はどこまでこの映画を楽しめるのでしょうか?

 というわけで、イタリア人の観点から『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』の魅力を掘り下げたいと思います。

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観光客が知らないローマ―トル・ベッラ・モナカ地区とは?

 ローマを訪れたことがある人なら、『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』のオープニングで主人公エンツォが走っている道に見覚えがあるでしょう。おっしゃれな下町エリア、トラステヴェレから有名なサンタンジェロ城へ、まさにローマの観光スポットで物語が始まるのです。

 しかし、『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』の舞台は、そのようなきれいな街ではなく、ローマ郊外トル・ベッラ・モナカ地区なのです。そのため、本作品で人物たちが話しているのは最初から最後までイタリア語共通語(そもそもイタリア語には標準語という概念があまり当てはまらないが)ではなく、ローマ方言です。しかも、ローマ中心の方言ではなく、郊外の独特な言葉が使われているため、イタリア人にとっても聞き取りにくい部分が少なくありません。

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 では、なぜガブリエーレ・マイネッティ監督はそこまでトル・ベッラ・モナカ地区にこだわったのでしょうか? それは、主人公の設定と関係しています。トル・ベッラ・モナカ地区は、ローマの中で特に治安が悪いとされていますが、舞台をそこに設定することで、マイネッティ監督は今まで見たことのないヒーローを作り上げたのです。つまり、『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』の世界では、人類を守るのは使命感が強い善良な人ではなく、窃盗で生計を立てているチンピラなのです。

※次ページ以降、ネタバレ要素を含みます。

      

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