上地雄輔、“やんちゃ”なアウトロー役が似合う理由 『土竜の唄』緩急の効いた演技を読む

上地雄輔、アウトロー役が似合うワケ

 映画『土竜の唄 香港狂騒曲』で前作同様、全身ヒョウ柄の刺青を入れたヒットマン・クロケンを演じている上地雄輔。1999年に俳優としてデビュー以来、テレビドラマや映画に数多く出演し、爽やかな好青年から、時代劇、さらに青年実業家などさまざまな役柄を演じてきた。そんな中、映画『クローズ ZERO』シリーズや、『ドロップ』、『漫才ギャング』そして本シリーズでみせたような“やんちゃ”な役を演じている上地には何とも言えない魅力がある。

 俳優ばかりでなくバラエティや歌手としても活躍している上地だが、知名度を上げたのは「クイズ!ヘキサゴンII」などのバラエティ番組だ。そこで彼はいわゆる“おバカ発言”を連発し、一躍お茶の間の人気者となる。

 メディアを通じて伝えられる上地は、明るく人懐っこい笑顔で先輩・後輩問わず愛されているイメージ。さらに高校野球の強豪・横浜高校でレギュラー捕手を務めていたスポーツの実力も相まって、爽やかな印象が強い。実際、映画の舞台挨拶やイベント等でも、共演者から慕われている様子が伝わってくる。そんなパブリックイメージにあった“誠実な良い人”という役柄の上地もナチュラルで魅力的だが、本作でみせるアウトローなキャラクターも実にはまる。

 ヤンキー映画やアウトロー映画に登場するキャラクターには、色々なパターンがある。見た目が恐ろしく、実際も恐ろしいパターン、全く人に危害を与えなさそうな見た目なのに、実はメチャクチャ恐ろしいパターン、見た目が恐ろしいのに、優しいパターン、そのハイブリッド型などなど……。

 上地の場合、これまでの作品では、ドレッドヘアーにしたり、全身刺青にしたりと外見的にはスタイリッシュでクールなアウトローの佇まいをしているが、内面の柔らかさが所々から見え隠れする。これは決してマイナスではなく、緩急の利いたアウトローというパターンを演じる場合、抜群にはまるのだ。いわゆる茶目っ気と人間味のあるやんちゃな人。

 『クローズ ZERO』シリーズで言えば、綾野剛演じた漆原や、金子ノブアキ演じた成海などは、“静”から“怒”への緊張感ある脅威だが、上地演じる筒本は“柔”から“怒”へのギャップが利いている脅威となる。こういった存在は、物語に緩急をつける立ち位置として非常に有効だ。

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