『アズミ・ハルコは行方不明』が切り取る、現代社会の混沌と優しさ 女優・大塚シノブがレビュー

大塚シノブの『アズミ・ハルコは行方不明』評

 他にもハルコの周りには、表面的な幸せを求めて失敗する同級生に、金目当てにかなりの年上男性と結婚、そして不倫する同級生。一緒に暮らすボケたばあちゃん、それをイライラしながら介護する母親……いろんな面々がいる。

 それぞれの人生、そして純粋無垢だった子供時代を経て、誰もが歳を取り、進んで止まって、また進んで。誰かが誰かと繋がって、影響し合って、いいこと悪いこと繰り返しながら、支え合って生きていく。混沌とした現代社会の中で、無理せず呼吸するアズミハルコから、寒い日に手渡された缶コーヒーのように苦くて暖かい、優しい未来をもらった気がした。

z1-th.png

 

■大塚 シノブ
5年間中国在住の経験を持ち、中国の名門大学「中央戯劇学院」では舞台監督・演技も学ぶ。以来、中国・香港・シンガポール・日本各国で女優・モデルとして活動。日本人初として、中国ファッション誌表紙、香港化粧品キャラクター、シンガポールドラマ主演で抜擢。現在は芸能の他、アジア関連の活動なども行い、枠にとらわれない活動を目指す。
日本の芸能に関してのお問い合わせはこちらへ :http://www.breathinc.com/

■公開情報
『アズミ・ハルコは行方不明』
12月3日(土)より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
出演:蒼井優、高畑充希、太賀、葉山奨之、石崎ひゅーい、菊池亜希子、山田真歩、落合モトキ、芹那、花影香音、柳憂怜、国広富之、加瀬亮
監督:松居大悟
原作:「アズミ・ハルコは行方不明」山内マリコ(幻冬舎文庫)
配給:ファントム・フィルム
(c)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会
公式サイト:azumiharuko.com

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「作品評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる