Hey! Say! JUMP 知念侑李、その才能は“飲み込みの早さ”にアリ 俳優として飛躍の時期へ
Hey! Say! JUMPの知念侑李の俳優としての歩みが興味深い。知念といえば、小柄でベビーフェイスのキュートなルックスと、幼少期から得意とするダンスが武器。振り付け覚えの早さはジャニーズでも随一と言われている。さらに、かねてから嵐の大野智ファンを公言しており、ファン目線を誰よりも知っているため、コンサートでもウチワに書かれたリクエストを見つけては即座に応えるなどファンサービスを欠かせない。アイドルとしては、まさにパーフェクト。
そんな知念が近年、映画『超高速!参勤交代』シリーズや、ドラマ『必殺仕事人』シリーズなど、演技の仕事でキャリアを築きつつある。現在、公開中の映画『金メダル男』では、内村光良とW主演を務めるまでに成長。注目すべきは、一つひとつの作品を通じて、知念が着実に表現者としての何かを掴んできているということだ。
知念の才能は、飲み込みの早さにある。小さいころからダンスの振り付けを覚えて、自分なりの表現へ落とし込んできた脳内回路が確立されているのだ。きっとその回路は、アイドルとしての振る舞いにも応用されている。ジャニーズアイドルとしていち早く才能を開花させることができたのも、大野という憧れの存在があったからこそ。もちろん、そこはコピーではない。自分という素材を活かすためには、どうしたらいいかというフィルターを通して、化学反応を起こさせる。そんな仕組みが、知念の成長過程にはあるように見えるのだ。
その回路が今後は俳優というジャンルでも、うまく回り始めているのではないか。『超高速!参勤交代』シリーズでは、佐々木蔵之介、西村雅彦、寺脇康文など、演劇界の名優たちが名を連ねていた。これまで知念の演技は、苦手意識がそうさせたのか、どこか肩に力が入った印象があった。しかし、この作品の出演を機に、柔軟さを手に入れたように見えるのだ。それも、ベテラン俳優たちの立ち居振る舞いを吸収したからかもしれない。
そして『金メダル男』では、内村というよき手本があった。コメディアンの内村が直接表情の作り方から示してくれたことによって、笑いを生み出す役柄を演じ切ることに成功。加えて、監督と同じ役を演じるという経験を通じて、映画制作そのものの面白さに触れられたはずだ。雑誌『ぴあMovie Special』(2016Autumn)のインタビューでは、「映画は撮っている間に周りの反応がないのは大変ですが、やりたいことをブレずにできる。それは映画ならではの良さだと感じました」という力強いコメントが綴られていた。
また、これまで人見知りとしても有名だった知念。仕事の空き時間は楽屋で1人になり、ガムテープの表示を見つめて時間をつぶすこともあったというほど。そんな知念が、『金メダル男』の現場では率先してスタッフと会話をしたのだそうだ。それも、主演かつ監督を務めた内村がスタッフと連携している姿を見て、習得したスタイルなのかもしれない。さらにインタビューでは、JUMPのメンバーが出演している作品もよく見ているという言葉も。2017年は、中島裕翔主演の『僕らのごはんは明日で待ってる』、伊野尾慧主演の『ピーチガール』、山田涼介主演『鋼の錬金術師』、有岡大貴が滝沢秀明主演のホラー映画『こどもづかい』と映画業界を多いに盛り上げる。メンバーからも刺激を受け、さらに進化を遂げることだろう。