広瀬アリス、“さわやか系”から“陰”のある女性へ 映画『L-エル-』で見せた潜在能力
広瀬アリスが勢いに乗っている――。公開中の映画『L-エル-』で主演を務めるほか、来年公開される園子温監督の『新宿スワンⅡ』ではヒロイン、人気ミステリー作家・米澤穂信のデビュー作を映画化した『氷菓』では山崎賢人と共にダブル主演を果たすなど、出演作が途切れることがない。そんな広瀬の魅力に迫る。
広瀬といえば、全国高校サッカー選手権大会の応援マネージャーや、妹すずと共にバスケットボールBリーグのスペシャルブースターを務めるなど、明るく爽やかなイメージが先行する。自身も「等身大の女の子を演じる機会が多い」と話しているようにパブリックイメージに引っ張られたキャスティングが目立つが、演技の幅という意味では多くの引き出しを持っているように感じられる。
深夜ドラマ『妄想彼女』では、男が勝手に作り上げた理想の彼女を、デフォルメされたしぐさや行動でコミカルかつキュートに演じ、連続ドラマ『釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~』では、定食屋「かづさ屋」の看板娘を、働き者で明るいという広瀬の持つイメージを活かしつつも、時折みせる艶やかな表情と、感情が高ぶると方言を発してしまうアンバランスさで瑞々しく演じている。
また12年に公開された『スープ~生まれ変わりの物語~』では、中年のやり手社長(松方弘樹)の生まれ変わりで、その記憶を持つ女子高生を、強烈なインパクトで演じた。外見は美人女子高生だが、ところどころで下品な言動や立ち振る舞いをみせてしまうという役どころは、目が点になってしまうほどの潔さだった。
パブリックイメージに添った役柄を演じつつも、しっかりとキャラクターに個性を持たせていた広瀬が、『L-エル-』ではこれまでのイメージとかけ離れた“陰”の雰囲気を身にまとった女性を演じた。劇中、彼女が演じるエルは、初めて心を許した男性からDVを受け、ボロボロになって身を寄せたキャバレーではショーガールに扮しセクシーなダンスを披露。さらに子を宿し、幸せになったかと思った矢先にさらなる悲劇に遭遇するなど波乱万丈な人生を送る。