『ドクターX』『相棒』『科捜研の女』……テレ朝ドラマ好調の理由は“長さ”にアリ?
そんな長尺ドラマの可能性を切り開く意欲作となりそうなのが、来年(2017年)の春からテレ朝で放送される新たな帯ドラマ『やすらぎの郷』である。
本作は芸能プロダクションの総帥と言われた男が運営するテレビに功績のあった者だけが入所できる無料・老人ホームを舞台としたドラマで、主演の石坂浩二を筆頭に浅丘ルリ子、加賀まりこ、五月みどり、藤竜也といったベテラン俳優が劇中に登場する元・俳優を演じる。高齢者をターゲットにした本作は、まだ放送時間は未決定だがゴールデンタイムに対する“シルバータイムドラマ”と銘打っている。脚本を手掛けるのは 『北の国から』の倉本聰。倉本が久々に手掛ける連続ドラマというだけでも期待大なのだが、それ以上に魅力的なのは帯ドラマという放送形態だろう。
朝ドラがヒットして以降、なんで民放は朝ドラのような帯ドラマをやらないのかと、歯がゆく思っていたが、このような作品が、“長さ”を追求してきたテレ朝から登場するというのは、感慨深い。まだ2クールの帯ドラマとしか発表されていないため、シリーズ化されるかどうかは終わってみないとわからないが、テレ朝のドラマだと考えると長期シリーズ化もありえる。
本作が成功すれば、長尺の帯ドラマの可能性が改めて実証されるのではないかと思う。
■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。