宮藤官九郎は大河ドラマを革新する? 2019年『あまちゃん』ブーム再来なるか

 NHK連続テレビ小説『あまちゃん』の脚本を手掛けた宮藤官九郎が、2019年に同局で放送される大河ドラマの脚本を担当することが発表され、話題を集めている。

 日本人が初めてオリンピックに出場した1912年から、1964年の「オリンピック」開催までの激動の52年間が描かれる本作。大河ドラマで近現代史が扱われるのは、1986年の『いのち』以来33年ぶりのことで、宮藤官九郎は「歴史に“動かされた”人と町の変遷を一年かけてじっくり描く予定です。まあ、こんな大河も、たまにはいいよね、と大目にみていただけたら幸いです。がんばります」とコメントを寄せている。

 ドラマ評論家の成馬零一氏は今回の起用について、「大河ドラマが宮藤官九郎を必要としている」と見ている。

「『あまちゃん』スタッフのチームが、どのように大河ドラマの流れを変えていくのか。そこが注目すべきポイントだと思います。2010年代以降、『ゲゲゲの女房』から朝ドラは革新的に変化していき、その到達点が『あまちゃん』だったと思います。それまで保守的だった朝ドラが、民放ドラマで活躍している脚本家を起用するなどの施策によって、新しいものに更新されていきました。現在放送中の『真田丸』の三谷幸喜さんをはじめ、次回作『おんな城主 直虎』の森下佳子さん、『西郷どん』の中園ミホさん、そして今回の宮藤さんの抜擢からも分かるように、大河ドラマにも変化の局面が訪れていると言えます。以前の朝ドラ同様、これからの3年で大河ドラマの革新が始まり、その集大成が宮藤官九郎さんのドラマになるのでは」

 今後の大河ドラマは脚本家主導で作られていくのではないか、と予想する成馬氏。大河ドラマと宮藤官九郎の相性については次のように考察する。

「芸能界の変遷を軸に日本の30年史を描いた『あまちゃん』にも、大河ドラマの片鱗は表れていました。以前は身近な日常を描くことが多かった宮藤さんですが、『あまちゃん』では、日常を生きる人々の姿を描きつつ、そこに政治や自然災害を織り込み、大きな歴史の流れを描くことに成功しています。それに『あまちゃん』や『ゆとりですがなにか』から察するに、近年の宮藤さんは、ギャグセンスの一点突破というよりも、しっかりと物語を描くことに注力していると感じます。大河ドラマでもそうした側面が活きてくるのではないでしょうか。また、今回チーフ・ディレクターを務める井上剛さんは、『あまちゃん』でも宮藤さんとタッグを組んでいる方で、最近では『トットてれび』や『64(ロクヨン)』といった実験的な番組を制作し、高い評価を得ています。井上さんは、ドキュメンタリー的な演出を得意としている方なので、昭和のセットや空気感を忠実に再現するのでは」

 一方で、いつもながらの“宮藤官九郎節”への期待も述べる。

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