『ドクターX』圧倒的な人気誇る理由 “無敵の大門未知子”のマンガ的おもしろさを探る

 

 これまで『ドクターX』を分析したコラムでは、「時代劇の手法」「西部劇の要素がある」などの評論があったが、私の見方はもっと単純。「主人公が無敵・無敗のマンガ」にしか見えない。たとえば、『ゴルゴ13』のデューク東郷を思わせる超絶技術、『Dr.スランプ』のアラレちゃんを思わせる無邪気さ、『こち亀』の両さんを思わせる欲深さ……すべては無敵・無敗の強さを引き立てるマンガ的な設定を大門未知子に施しているのだ。

 だから大門未知子は、脳から心肺、消化器、手足まで、あらゆる身体の部位を手術できるし、海外病院での緊急手術だって、獣医として馬の手術だって難なくこなしてしまう。そんな大門の手術を見た周囲の「スゴイ……」「何て技術だ」などのセリフもマンガの吹き出しに近い。前述した3つのマンガは、いずれも幅広い年代に受け入れられた超人気作であり、『ドクターX』もその点では同じだろう。

 『ドクターX』は、プライムタイムの連ドラで唯一視聴率20%を獲れる貴重なシリーズだが、その内容はシリーズ第一弾からあまり変わっていないし、制作サイドは「予定調和を見せることこそ視聴者サービス」と考えている節がある。

そのため、多くの人々がハマっている反面、ハマらない人は「むしろ嫌い」というアンチの勢力も意外に大きい。かつてのプロ野球・読売ジャイアンツのように、「大半の人が好きだが、それ以外の人はみんな嫌い」という状態にある。

 もし『ドクターX』が何かしらのほころびを見せたとき、アンチたちは黙っていないだろう。ただしかし、ファンとアンチの攻防戦がはじまったところで、それも人気の証であり、やはりその存在感は揺るがないものと思われる。

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月間約20本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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