『過激派オペラ』早織&中村有沙が語る、壮絶な撮影現場と過激なラブシーンに挑んだワケ

早織&中村有沙が振り返る『過激派オペラ』

早織「ラブシーンのほうが監督からの叱責が少なかったので逆に助かった」

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ーー“女たちが繰り広げる15分に1度の剥き出しの愛ーー”と作品のコピーにあるように、過激なラブシーンも本作の大きな見どころのひとつだと思います。このようなラブシーンに挑むにあたって、抵抗や迷いはありませんでしたか?

中村:そういうシーンをちゃんと撮らないと成り立たない作品だなというのは、脚本の段階から感じていたので、抵抗はまったくなかったですね。ナオコと春のやりとりが映像化されたら、ただエロいだけじゃなくて、すごく面白くなるんじゃないかなって。だから2人のシーンはそんなに色っぽい感じにはなっていないんです。江本さんも絶対にそういう感じでは撮らないだろうなと思っていたので、そこはもう信頼していましたね。撮影もすごく楽しかったです。

早織:初めて挑戦することだったので、もちろん緊張もしましたし、やっぱり難しいとも思いました。でも、抵抗とか遠慮とかって、誰が誰に対して感じるのかなとかを考え始めたら、もう気にしなくていいやって思えたんですよね。思い切ってやれる環境を与えてもらえたことが貴重だなって。裸になるということは自分を曝け出すことになるので、変な嘘もつけないじゃないですか。そこに挑戦できたのも、私にとってはすごくありがたかったですね。有沙ちゃんとのラブシーンも、私たちはお互い一生懸命臨んでいただけだという気がします。

中村:本人はあまりなんとも思っていないんですよね。逆にスタッフさんが気を遣ってくださるというか(笑)。スタイリストさんをはじめ、スタッフさんたちがしっかり考えてくれて、きちんと環境を整えてくれたので、私たちは皆さんを信頼して、もうやるだけって感じでした。

早織:私はラブシーンの撮影時のほうが劇団員たちとのシーンより監督からの叱責が少なかったので、逆に助かったという思いもありますね(笑)。「毛布教」の稽古や舞台は感情や動きが大変で、監督の演出は厳しかったです。でも冒頭の、地面でグルグル回りながらのラブシーンはキツかったですね。地面がコンクリートなので、どれだけスタッフさんが掃除してくださっても細かい砂利があったりするのでかなり痛くて。何度もできないと思ったので、集中してやりましたね。ああいうシーンのアイデアも江本さんならではなので、発想がすごいですよね。涼ちゃん(森田涼花)の顔を舐め回すシーンとかもすごい(笑)。涼ちゃんが一応ちょっと舌を出したりして頑張って応えようとしているのが、可愛くておかしいんですよね。

中村:「掃除機みたいな感じでやって!」って言われて頑張るんですよね。メンバーも「え?」って感じになりながら(笑)。

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ーー今回の作品で得た経験は、自身の今後の活動にどう繋がっていくと思いますか?

早織:今回の経験を通して、意識の改革が起きたというのは確実にありました。これからより一層、一つひとつの仕事に向き合っていきたいですが、やっぱりすぐ、劇的には変われないですよね。私は今回の撮影が終わった時、お芝居が嫌いだという感情も経験しました。人が演技をしているのを見ても、何が楽しいのかわからなくなってしまったというか……。「“楽しい”って何だっけ?」って。自分がそれまで感じていたことって本当だったのかな、上っ面だけだったんじゃないかなというような問いがどんどん湧いてきてしまって、すごく気持ちが停滞してしまったんですよ。次の仕事が控えていたので、マネージャーさんからは一旦気持ちを切り替えて、次の仕事に集中するようにとアドバイスをもらいました。何年後かに振り返った時に、この作品に出演したことで私はこう変われたんだって思うかもしれないですけど、まだ全然その変化の過程なので、今後この人はどうなっていくんだろうと見守っていただけたらありがたいです。

中村:「“楽しい”って何だっけ?」っていうの、すごくわかります。今まで自分は何に対してそういうことを感じてきたんだろうって、私もすごく考え込んでしまいました。今回の作品を通して、私自身本当にたくさんのものを得たんですけど、果たして今それを活かして仕事ができているかというと、自分でも疑問に思うところがあります。江本さんは“個性”をすごく大事にしてくださる方ですが、結局自分の個性ってなんだろうとか、本当に自問自答が多い現場でした。そういうことも含めて、私はやっぱり芝居が好きで、続けていきたいんだなということを自覚できたので、いろいろな人に迷惑をかけてしまいましたが、この作品に出会えたことは自分の中でも本当に大きな経験になりました。

(取材・文=宮川翔)

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■公開情報
『過激派オペラ』
テアトル新宿にて公開中
出演:早織、中村有沙、桜井ユキ、森田涼花、佐久間麻由、後藤ユウミ、石橋穂乃香、今中菜津美、趣里、増田有華、遠藤留奈、範田紗々、宮下今日子、梨木智香、岩瀬亮、平野鈴、大駱駝艦、安藤玉恵、高田聖子
監督:江本純子
原作:『股間』江本純子(リトルモア刊)
脚本:吉川菜美、江本純子
製作:キングレコード、ステューディオスリー
配給:日本出版販売
ビスタ/デジタル/90分/5.1ch/R15+
(c)2016キングレコード
公式サイト:www.kagekihaopera.com

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