生田斗真、“抑えた芝居”はどう培われた? 『秘密 THE TOP SECERT』へ至るキャリア

生田斗真、『秘密』へ至るキャリア

 生田斗真の映画デビュー作の監督、荒戸源次郎は「50年に一人の逸材」と彼を評している。近年その演技力は高い評価をされ続け、1作ごとに異なる魅力を放っている。

 映画デビュー作『人間失格』での女に溺れる主人公に始まり、『源氏物語』の光源氏、『脳男』では高い知能を持ちながら感情の欠落した男、『土竜の唄』ではボンネットの上で全裸になってみせ、『予告犯』ではネットで犯罪予告を行い世直しを扇動する青年、『グラスホッパー』では復讐のために闇組織に挑む弱い教師。さらに蜷川幸雄の舞台では、女性役やヒトラーといった非常にクセの強いキャラクターに挑戦した。エッジの効いた役ばかりではなく、『僕等がいた』やブレイクのきっかけとなったテレビドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(フジテレビ系列)などでは、等身大の恋愛映画の主人公も演じている。非常に器用な役者で、どの作品でも真摯に役に向かい合い続けている。

 彼は今でこそ映画の演技派俳優というイメージだが、17歳の時に踏んだ劇団☆新感線の舞台『スサノオ〜神の剣の物語〜』が、後の彼の芸能人生を決定づけたと言っても良いだろう。2010年1月に放送された『情熱大陸』(MBS・TBS系)の中で生田は、1から芝居をつくり上げ、子どものように楽しんで仕事をする劇団☆新感線のベテランたちがとても羨ましかったと、舞台役者として初めて仕事をした時の感動を語っている。以来、共演した古田新太は彼の憧れとなり、舞台で多くのキャリアを重ね、他のジャニーズ所属の俳優たちとも一線を画したキャリアを積んできた。

 今や押しも押されぬトップスターとなった生田斗真だが、最新作『秘密 THE TOP SECRET』でも貪欲に難度の高い役にチャレンジしている。清水玲子のミステリー・コミック原作のこの作品で生田が演じるのは、死者の記憶を映像化し、犯罪捜査を行う科学警察研究所法医第九研究室、通称「第九」の室長を弱冠33歳で務める薪剛だ。この薪というキャラクター、原作では33歳にして小柄で童顔、女性と見紛うような美貌の持ち主という設定である。非常に漫画チックなキャラクターで、実写化するのが難しいキャラクターだが、女性役を演じたこともある生田は、この役をこなすのに適任だったと言えるだろう。自然と醸しだされるミステリアスな雰囲気も、作品全体の雰囲気作りに大きく貢献している。

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