生田斗真、“抑えた芝居”はどう培われた? 『秘密 THE TOP SECERT』へ至るキャリア

生田斗真、『秘密』へ至るキャリア

 今回生田が見せた芝居は、『脳男』でも見せたような抑制された中で感情を匂わせるような、「抑えた芝居」だ。表情を崩さず、常に冷静に事態を分析して現状を打破していく薪は、実は大きなトラウマを抱えている。クールな態度にもそれが自然とにじみ出る生田の存在感は抜群だ。その壊れるギリギリ一歩手前の危うさを表現するのが大変に上手い。『人間失格』や『脳男』も台詞の少ない役で、抑えた芝居の上手さはすでに実証済みだ。こうした何もしないで「にじみ出す」芝居は彼の得意とするところだろう。役者としてとても良い「雰囲気」を持っているとでも言おうか。彼が画面に映るだけで映像が引き締まるのだ。彼は高い演技技術を持っているが、ただ上手いだけの役者とも違う。彼特有の危険な色気を持っている。抑えた芝居では特にそれが香り立つ。

 今年は10年ぶりに自らの役者人生を決定づけた劇団☆新感線の最新作にも出演し、映画では『土竜の唄 香港狂騒曲』が公開待機中。さらに来春には荻上直子監督の最新作『彼らが本気で編むときは、』でトランスジェンダーという難役にまたしても挑む生田斗真。実に充実した役者人生だろうが、現状に甘んじることなく彼の挑戦はこれからも続く。今後もどんな魅力を香り立たせてくれるのか、大いに期待したい。

■杉本穂高
神奈川県厚木市のミニシアター「アミューあつぎ映画.comシネマ」の支配人。ブログ:「Film Goes With Net」書いてます。他ハフィントン・ポストなどでも映画評を執筆中。

■公開情報
『秘密 THE TOP SECRET』
全国公開中
原作:清水玲子「秘密 THE TOP SECRET」(白泉社刊・メロディ連載)
脚本:高橋泉、大友啓史/LEE SORK JUN、KIM SUN MEE
監督:大友啓史
出演:生田斗真、岡田将生、吉川晃司、松坂桃李、織田梨沙、栗山千明、リリー・フランキー、椎名桔平、大森南朋
音楽:佐藤直紀
主題歌:SIA「ALIVE」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
企画・配給:松竹
(c)「秘密 THE TOP SECRET」製作委員会
公式サイト:http://himitsu-movie.jp/

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