滝沢秀明 & 武井咲、突っ走る不倫劇はアリ? 『せいせいするほど、愛してる』の勢い

「副社長の言葉一つで、泣いたり笑ったり、単純で馬鹿みたいで、でも力になりたくて。わたしの心は副社長でいっぱいなんです。指輪なんかいりません、奥さんが一番だっていいです。離婚してとか、面倒なこというつもりもありません。ただ、副社長が欲しいです」

 そう、このドラマはそもそも“不倫もの”で、なにも考えることができないほどに恋い焦がれて突っ走ってしまうふたりの情熱こそが、メインテーマなのだ。そこで重要なのは、深く共感できる心理描写やリアルな設定よりも、理屈をすっ飛ばすほどの勢いである。

 90年代のトレンディドラマを思い返すと、ミーハーで陳腐な物語が決して少なくなかった。いま観ると、その設定は浮かれていて、登場人物たちは短絡的で、セリフもどこかクサいものばかりである。だが、その軽薄さは、まだ世の中が前向きだったからこそ生まれたものでもあり、いまとなっては得難い、壊れやすいものでもあっただろう。

 時代の空気を捉えた、リアルで濃密な人間ドラマも良いけれど、イケメンと美女がシンプルに求め合うだけの、言ってみれば徒花のようなドラマも、今の世の中にあって良いのではないだろうか。

(文=松下博夫)

■番組情報
『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)
毎週火曜日10時〜
出演:武井咲、滝沢秀明、水沢エレナ、トリンドル玲奈ほか
原作:北川みゆき
脚本:李正美、渡邉真子、井上聖司
演出:石井康晴、池田克彦、岡本伸吾
プロデューサー:伊與田英徳
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/seiseisuruhodo_love/

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