滝沢秀明、“超展開”成立させる驚異のイケメン力 『せいせいするほど、愛してる』で30代の色気
滝沢秀明と武井咲によるドラマ『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)の第一話は、畳み掛けるような怒涛の展開と、それを力業で成立させる滝沢秀明の“イケメン力”に驚かされる仕上がりだった。迎賓館赤坂離宮でのロケ、ティファニーの全面協力、フィギュアスケート選手グレイシー・ゴールドのゲスト出演など、多くのバブリーなトピックスに彩られていたが、それ以上に凄かったのは物語の圧倒的なスピード感である。
迎賓館にて、滝沢演じる三好海里が、子どもが誤って飛ばしてしまった風船をジャンプで掴もうとしたところ、偶然居合わせた武井演じる栗原未亜とぶつかるという、まさに少女漫画のお手本のような“出会い”から、どこかで見たことがあるお決まりのシーンが次から次へと展開していく。未亜が、水沢エレナ演じる大手出版社の編集者・真咲あかりと、トリンドル玲奈演じるファッションモデルの美山千明の3人で、瀟洒なマンションでルームシェアをしているというトレンディすぎる設定にも、突っ込む隙を与えない。
未亜が出社すれば、今日から上司となるのは昨日ぶつかった三好で、しかも語学堪能でかつては建築業でも功績を残しているという超エリート。最初は反発心を抱くも、一緒に企画を実現させたことで絆が深まり、恋に落ちそうになったと思いきや、実は三好が既婚者であることが判明。さらに、高橋光臣演じる元カレ・山下陽太はストーカーへと変貌し、未亜の家に侵入してシャワーシーンを覗こうとする。途中、未亜がカラオケで「リンダリンダ」を熱唱し、三好が自宅でエアギターに興じるサービスショットを挟み、ラストは三好と山下が直接対決。山下を突き飛ばして、「彼女は俺のものだ!」と宣言した三好は、第一話にして長く濃厚なキスシーンを見せつける。
90年代のトレンディドラマや少女漫画における“お約束”がこれでもかと詰め込まれた内容で、約50分の中に半年くらいの展開があったんじゃないかと思うほどのボリューム感だったが、これが不思議と成立しているのが面白いところだ。その振り切り方には、とにかくキュンキュンできればそれで良いという潔さがある。できるだけたくさんの見どころを作り、それをぎゅうぎゅうに詰め込んでいくのは、数多くのコンテンツが溢れる昨今において可能な限り視聴者を引きつけるための、ひとつの方法論なのかもしれない。
ただ、闇雲に見どころを作ったからといって、それを成立させるにはキャストの力が必要不可欠だろう。今作においてはとにかく滝沢秀明が凄まじいイケメンぶりを発揮していて、それがこのジェットコースターのような物語を成立させているといっても過言ではない。たとえば、未亜のハイヒールの足が折れてしまい、お姫様抱っこで靴屋へと連れていくシーン。あのシチュエーションを涼しい顔して平然とやってのける滝沢のイケメン力は、相当なものである。さらに、未亜の剥がれたペディキュアを見て、「ちゃんと1日働いた足だ、綺麗だよ」と言い放つシーンの説得力。これが滝沢でなければ苦笑してしまうようなキザなセリフだが、彼が話すとなにもかもが魔法のように素敵に響くから恐ろしい。より大人っぽさを増した滝沢の魅力が溢れんばかりに表現されたシーンといえよう。