『裸足の季節』監督&キャスト陣インタビュー 世界の映画祭で絶賛の“5人姉妹”はどう選ばれた?

『裸足の季節』監督&キャスト陣インタビュー

エルギュヴェン「アイスクリーム屋になることも考えた」

20160614-mustang-bamen8.png
『裸足の季節』(c)2015 CG CINEMA - VISTAMAR Filmproduktion - UHLANDFILM- Bam Film - KINOLOGY KINOLOGY

ーー今回の作品は、今年のカンヌ国際映画祭「批評家週間」の審査員も務めていたアリス・ウィノクールさんとの共同脚本ですよね。どの程度があなたによるもので、どの程度が彼女によるものなのでしょうか?

エルギュヴェン:クリエイティブな面からすれば、脚本は私1人によるものです。アリスは私が書いたシナリオについて、感想や意見を言いながら、ボクシングのコーチのような形で私の作業を見守ってくれていました。時には意見がぶつかり合うこともありましたね。例えば、銀行のシーンがありますよね。アリスはシナリオの段階ではあのシーンを非常に嫌っていたんです。でも、私は自分の意見を通してあのシーンを採用しました。できあがった映像を観たアリスがあのシーンを気に入ってくれたので、結果的によかったですけどね。

ーーなるほど。クレジット上は共同脚本ではあるけれど、基本的にはあなた1人で書いたものだということですね。そもそも彼女とはどのように出会い、どのような形で一緒に仕事をすることになったのでしょうか?

エルギュヴェン:アリスとは2011年のカンヌ国際映画祭で出会いました。私もアリスも、当時手がけていた長編処女作となる企画を完成させるためにアトリエに招待されたんです。アリスはそのまま初長編監督作『博士と私の危険な関係』を完成させましたが、私のプロジェクトはとてもお金がかかるもので、製作段階で様々な問題が発生したため、結局頓挫してしまったんです。そのプロジェクトの資金集めなどをやっていた時に発想が生まれたのが、『裸足の季節』だったのです。最初のプロジェクトが頓挫してしまったので、もしも次の作品もダメになってしまったら、映画を作るのは諦めて、オーストラリアに渡ってアイスクリーム屋になろうと考えていたんです。その話をアリスにしたら、彼女は「そんなバカなこと言うんじゃない!」と言ってくれたんです。それをきっかけに、私はシナリオを書き始め、ひと夏で50ページぐらいの草稿を書き上げました。なので、脚本を書き上げるエネルギーを彼女に焚き付けてもらわなければ、この作品も完成していなかったと思います。そして、当時頓挫してしまったプロジェクトは「Kings」という作品なのですが、その後無事製作にこぎ着けることができ、私の長編監督作第2作として、ハル・ベリー主演で10月から撮影に入る予定です。

(取材・文=宮川翔)

20160614-mustang-sub7.png

 

20160614-mustang-sub4.png

 

20160614-mustang-sub1.png

 

■公開情報
『裸足の季節』
シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて公開中
監督:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン
音楽:ウォーレン・エリス
出演:ギュネシ・シェンソイ、ドア・ドゥウシル、トゥーバ・スングルオウル、エリット・イシジャン、イライダ・アクドアン、ニハル・コルダシュ、アイベルク・ペキジャン
配給:ビターズ・エンド 
2015年/フランス=トルコ=ドイツ/97分
(c)2015 CG CINEMA - VISTAMAR Filmproduktion - UHLANDFILM- Bam Film - KINOLOGY KINOLOGY
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/hadashi/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる