『ズートピア』は“動物アニメ”を改革した 動物によるハイテク社会のおもしろさ

“動物アニメ”の革新『ズートピア』評

20160418-zootopia3-th.jpg

 

 一見平和そうに見えるズートピアも、人間界同様さまざまな秘密や問題を抱えているのは当然のこと。どちらかというとこれまでのアニマル映画は、困難を乗り越える動物たちの健気さや可愛らしさに焦点を当ててきた感がある。だが、本作には自分の頭で考え、責任感を持って行動し、巨悪にも果敢に挑むウサギのスーパーヒロイン・ジュディが登場。ただ可愛いだけでなく、よりパワフルで人間に近い彼女のキャラクターは、現実世界でがんばる大人たちにも勇気と元気を与えてくれる。

 人種のるつぼならぬ“動物たちのるつぼ”であるズートピアは、ニューヨークやロンドンやパリのような大都会をしのぐほどのパワーと可能性に満ちている。それぞれがお互いの個性を認め合い、自らの能力を最大限に生かしながら平和に生きていく理想郷こそが、今われわれ人類に最も必要な場所なのかもしれないと本作が教えてくれるのだ。

■平野敦子
映画&猫専門フリーライター。著書に『新版 人に育てられたシロクマ・ピース』『ふたつの名前で愛された犬』(以上学研プラス)。猫びより等に寄稿中。年間約400本の映画を鑑賞。旅行中毒で常に国内外を飛び回っており、今後台湾を訪れる予定。死ぬ前に観たい映画は『哀愁』(笑)。

『ズートピア』予告映像

■公開情報
『ズートピア』
4月23日(土)2D/3D全国ロードショー
製作総指揮:ジョン・ラセター
製作:クラーク・スペンサー 
監督:バイロン・ハワード/リッチ・ムーア
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(c)2016 Disney. All Rights Reserved.
(c)2016 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
公式サイト:Disney.jp/Zootopia

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「作品評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる