『オデッセイ』VRは、ハリウッドの新市場を開拓するか? 最新技術による「擬似宇宙体験」を検証
リドリー・スコット監督の最新作『オデッセイ』が大ヒットを記録している。2月5日に公開された日本では、4週連続興行収入1位に輝き、2月28日までで、累計動員187万人、累計興収27億2500万を突破し、全世界の興行収入は6億2400万ドルを記録。スコット監督作品史上、最高の興行記録を更新し続けている。
マット・デイモンを主演に迎え、NASAの全面協力のもと製作された本作。火星に独りぼっちで取り残された宇宙飛行士マーク・ワトニーの想像を絶する運命を描き、ワトニーのポジティブさや、大規模なセットと視覚効果で創出した圧倒的な火星のビジュアル、火星でのジャガイモ栽培などのユニークさが口コミでも話題となっている。
そんな『オデッセイ』で話題になっているのが、VR(バーチャル・リアリティ)体験だ。1月6日から9日にかけてラスベガスで開催された、全米家電協会主催の「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」では、本作のVR映像体験(The Martian VR Experience)のデモが行われ、大きな話題を集めた。
このVR映像は、プロダクション・デザイナーとして『アバター』『アリス・イン・ワンダーランド』でアカデミー賞美術賞を2度受賞し、『マレフィセント』の監督としても知られる、ロバート・ストロムバーグが演出を手がけたもの。スコット監督がエグゼクティブ・プロデューサーを務め、20世紀フォックス、フォックス・イノベーション・ラボ(20世紀フォックスの研究部門)、RSA films(リドリー・スコットが設立した映像製作会社)、The Virtual Reality Company(ストロムバーグが立ち上げたVRコンテンツの制作会社)が共同で製作したものだ。
体験者は、映像とリンクして振動を伝えるD-BOXの椅子に座り、間もなく一般に発売予定のOCULUS RIFTのヘッドセットを装着することになる。そして、OCULUS TOUCHコントローラー(ゲームのコントローラー)を両手に握り、そのコントローラーを操作をしながら、VR体験が進んでいく。
これまで展開されてきた映画を基にしたVRの多くは、クライマックスシーンを再現したものが一般的で、長くても7〜8分の尺だったが、『オデッセイ』のVRは約20分にわたって展開される。映画本編のクリップ(2D)とともに、360度の世界が体験できるVRアドベンチャーが用意されており、火星に取り残された宇宙飛行士マーク・ワトニーが体験したことを疑似体験できる構成だ。