広末涼子はいかにして“母親”を演じたか 『はなちゃんのみそ汁』に見る、女優としての現在地

広末涼子はいかにして“母親”を演じたか 『はなちゃんのみそ汁』に見る、女優としての現在地

20151221-hanachan_subsub1-th.jpg

 

 そこで、主役の安武千恵役に白羽の矢が立ったのが広末涼子である。その理由として子どもを見る目、子どもにかける言葉に「教え」が感じられそうだったと監督は言う。実生活でも、3児の母親ともある広末は、作品のなかでも、妻として、母として、ごく自然に溶け込んでおり、その佇まいに安心すら感じる。また、闘病中でありながら、ナーバスな感情に支配されることなく、日々を精一杯生き抜く主人公の強さも彼女からひしひしと伝わってくる。

 そんな千恵を支える夫・信吾役を俳優・滝藤賢一が熱演している。監督が実際に会った彼の印象そのままに、子どものように無邪気で屈託のないキャラクターを描き出した。しっかりものの千恵と相反し、ときおりみせる素っ頓狂なしぐさも含めて、滝藤の新境地として見どころのひとつとなっている。

 そして、娘・はな役には1,000人を超える応募者の中から、オーディションを勝ち抜いた、4歳の新人子役・赤松えみなが抜擢された。演技経験ゼロの役者を起用するのは不安より冒険だった反面、その理解力の深さと吸収力の高さに監督いわく「怪獣」と絶賛した。

 今作において、ともすれば「壮絶な人生」と捉えられてしまう安武千恵の生涯を、日常にとけ込ませながら、気負うことなく演じきれたのは、「ヒロスエ」という確固たるキャラクターをもち、等身大の人物を演じ続けてきた彼女だからこそだろう。現在35歳、いましか見られない「ヒロスエ」の姿が、ここにある。

■内藤裕子
ライター。2004年より雑誌の編集、WEB企画、商品企画をメインに、イベント企画、総務、人事、広報を経てクリエイターのマネージメントに携わる。現在看護師として働く傍ら、写真関連のUstreamの企画構成にも携わる。

■公開情報
『はなちゃんのみそ汁』
12月19日(土)よりテアトル新宿&福岡県内先行公開、2016年1月9日(土)より全国拡大公開
出演:広末涼子 滝藤賢一
一青窈 紺野まひる 原田貴和子 春風ひとみ 遼河はるひ 赤松えみな(子役) 平泉 成 木村理恵 北見敏之 高畑淳子 鶴見辰吾/赤井英和/古谷一行
原作:安武信吾・千恵・はな「はなちゃんのみそ汁」(文藝春秋刊)
監督・脚本:阿久根知昭(『ペコロスの母に会いにいく』脚本)
主題歌:一青窈「満点星」(ユニバーサルミュージック/EMI Records) 
配給:東京テアトル<東京テアトル70周年記念作品>
2015年/日本/デジタル/118分/ヴィスタ/カラー/5.1ch  
(C)2015「はなちゃんのみそ汁」フィルムパートナーズ
公式サイト:http://hanamiso.com/

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる