日本で一番ロッカールームが似合う女優!? 大島優子が語る、卒業後初主演映画『ロマンス』の手応え

大島優子、卒業後初主演映画を語る

「AKB卒業後初の主演映画がこの作品で本当に良かった」

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——『ロマンス』が素晴らしい作品である理由はたくさんあるんですけど、一つには、これが原作を持たないオリジナル作品ということで。日本映画の商業作品において、今やそれだけでも貴重なことで。そういう作品の主役をゼロから演じることができるというのは、女優冥利に尽きるんだろうなって。

大島:本当に。タナダ監督にとっても、7年ぶりのオリジナル作品ということで、その作品でご一緒できて本当に嬉しかったです。タナダ監督の作品は『百万円と苦虫女』が大好きで、いつか自分もご一緒できる機会があればなとて思っていました。それが、こうして話が決まって、しかも、それが自分にとってはAKB48を卒業して初めての芝居の現場だったので。

——あ、そっかそっか。

大島:「これは最高のスタートになる!」って思いました。現場に入る時は、何の気負いも心配もなかったんですよ。とにかく脚本がおもしろかったし、撮影も楽しかったし、公開前の今は、早くみなさんに観ていただきたいなって、本当にそれだけですね。タナダ監督やスタッフの方はいろいろ不安とかもあるんでしょうけど(笑)。

——タナダ監督の現場は、これまでに出演してきた作品の現場と違いましたか?

大島:全然違いましたね。タナダ監督は本当に芝居を委ねてくださる、任せてくださるんですよね。まず段取りとして、最初に自由に動いてみて、それがOKだったらそのままカメラを回して。役者としては、「信頼されてるな」っていう気持ちをすごく感じることができる現場でした。台詞も「別に一語一句一緒じゃなくていいです」っておっしゃるんです。

——へぇ! そうなんですか! じゃあ、結構アドリブをかましたり?

大島:いや、逆に一語一句変えませんでした(笑)。タナダ監督の信頼を感じていたからこそ、私もその信頼に応えたかったので、しっかりと脚本に沿って、役に身を投じるのが自分の役割だと思ったんです。それと、主役としてロマンスカーのアテンダントに焦点を当てるタナダ監督はやっぱりすごいなぁって思いました。ロマンスカーだからこそ出せる雰囲気があって、少しレトロで、情緒があって、東京に一番近いリゾート地である箱根が目的地という。

——確かに、あんなに東京に近いのに、そこで線路がプツンと終わっているっていうのは、登場人物たちの「未来が見えない感じ」ともつながっていて、すごく象徴的ですよね。

大島:そうですね。あと、タナダ監督って女の子と大人の狭間にいる女性をとても魅力的に描く方で、今作で私がやった役も見事にそういうキャラクターでした。

——そうですよねー。あと、『ロマンス』の何がいいって、最初から最後まで自然に笑いながら観てしまうところで。日本映画で、こういう絶妙なさじ加減のユーモアが描かれた作品って本当に少ないと思うんですよ。

大島:そうですね。

——ユーモアを狙った作品だと、大体やりすぎちゃうか、スベっちゃうかで。

大島:この映画は、クスクス笑えるところもありますし、温かい映画ですよね。

——そう。もちろん、監督の手腕、脚本のクオリティ、そして共演の大倉孝二さんの貢献も大きいんですけど、この作品の最大の発見はコメディエンヌとしての大島優子だと思うんですよね。

大島:それに関しては、大倉さんとのコンビネーションのおかげだと思います。大倉さんの間とか、息遣いのようなものと、とても波長が合ったんです。だから、何の無理もなかったし、自然にどんどんコンビネーションが良くなっていきました。台詞の掛け合いが本当に楽しくて。

——それは作品からもすごく伝わってくるんですけど、とはいえ、これは日常からユーモアに重きを置いている人の演技だなって思ったんですよね。

大島:そうだと思います(笑)。笑いって、人と打ち解ける上で一番良い方法だと思うんです。だから、私自身すごく大事にしている部分です。今回の撮影でも、大倉さんとはカメラが回っていない空き時間もずっと役のままの関係でした。芝居について真面目に話し合うということは一度もなく、ずっとくだらない話ばかりしていました(笑)。

——これはよく訊かれることだと思うんですけど、テレビドラマと映画、脇役と主役、いろいろやってきた中で、やはり「映画で主役」となると心構えは違ってきますか? まぁ、さっき「何の気負いもなかった」って言ってましたけど(笑)。

大島:もっと大変だと思っていました(笑)。でも、やっぱり作品によって変わってくると思います。そういう意味でも、ちょっと今回の『ロマンス』は特別な作品かもしれませんね。アクションシーンがあるわけでもない、感情的に起伏が激しいわけでもない、ゆったりとしたロードムービーだから。今思うのは、卒業後初の主演映画がこの作品で本当に良かったということですね。

(取材・文=宇野維正/写真=下屋敷和文)

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■公開情報
『ロマンス』
8月29日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
出演:大島優子 大倉孝二 野嵜好美 窪田正孝 西牟田恵
脚本・監督:タナダユキ
製作:東映ビデオ
配給:東京テアトル
2015年/日本/97分/5.1ch/ビスタ/カラー/デジタル
(C)2015 東映ビデオ

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