【漫画】過剰な広告が人々に与える影響とは……? 昭和レトロな『広告飽和点』の普遍的なメッセージ

【漫画】広告飽和点

元ネタは“公共施設のネーミングライツ”

――後乗りで広告展開する企業、「広告を多く出していることに安心感を覚える国民など、現代でも通じる風刺が効いている内容でした。

高川:本作の元ネタは“公共施設のネーミングライツ”です。「耳馴染みによる疑似好印象の関係というのはどこかで破綻するのでは?」と漠然と思って描きました。ただ、各自お好きなポイントで何かしら感じてもらえると嬉しいです。

――昭和初期~中期ごろが舞台になっていますが、なぜこの時代を選んだのですか?

高川:「戦前っぽい雰囲気で妙に未来的なモチーフを描くと、架空の日本のような平行世界感が出ていいな」と思いました。使い勝手のいい舞台なので実は割とよく使う手法です。

――作中に登場する「モノポール·グラマラスS」の商品概要はどのように考えたのですか?

高川:常に光速以上の速さを持つとされる仮想の粒子“タキオン”の疑似科学グッズがちょくちょく売られており、「理論上存在するものの未発見の粒子が疑似科学グッズとしてカジュアルに製品化されている」ということに面白さを覚えていました。そこから「自分が詐欺師として作るとしたら何が良いか?どう製品化するか?」と考えていった結果、「モノポール·グラマラスS」が生まれました。

――「然し」「其れ」など現代ではあまり使われない表現が多く出てきますが、セリフを決めていくうえで注意したことは多いのでは?

高川:戦前世代の小説をよく読んでいたので、特に迷いもなくセリフを決めていきました。

――本作は2007年に制作された作品とのことですが、今現在読み返してみてどうですか?

高川:広告部分の書体の使い方を見て、「あの当時の自分の中の流行りだな~」と感じました。

――最近ではネット上に怪しげな美容系広告が散見されます。2007年作成ではあるものの今の時代にマッチした作品になっていますね。

高川:昔も今も美容系広告は疑似科学ネタの宝庫なので、この先もずっと時代にマッチしていくと思います。

――今後の漫画家としての目標など教えてください。

高川:割といい年なのですが、この歳になってまさかの初商業単行本『怪奇古物商マヨイギ』1巻( KADOKAWA)が6月26日に出ました。とりあえず2巻以降もリリースできることが当面の目標です。本作は『カドコミ』で無料試し読みができるのでぜひ。また、個人で作成している『ワラジ虫観察漫画』なども少しずつ進めていきたいです。

『怪奇古物商マヨイギ』試し読み
https://comic-walker.com/detail/KC_002627_S

『ワラジ虫観察』
https://www.pixiv.net/user/7147789/series/57803

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