【漫画】俳優だった姉を偲んで、妹がとった行動とは? 『幽霊が視える葬儀屋さん』が泣けると話題
――反響を受けていかがですか?
吉良いと(以下、吉良):「まさかここまで広がるとは…」と驚きました。まだ当時は会社員でしたが、漫画を描いていることを知っていた同僚からの「お前の漫画バズってるぞ」という連絡で知りました。本格的に漫画家を目指す後押しとなった出来事です。
――制作のきっかけを教えてください。
吉良:幼少期から漫画家は憧れでしたが、特に作品を完成させることもなく会社員をしていました。しかしアラサーになり、夢にもう一度だけ挑戦したくてストーリー漫画を完成させました。それが『ようこそ亡霊葬儀屋さん』なんです。本作のおかげで、今は漫画家として生活できています。
――ストーリーの着想はどこから?
吉良:「葬儀屋さん」という、死に近い職業の人がもし幽霊が見えたら。ふとした考えから本作が始まりました。遺族の方から葬儀の依頼が来る、しかし実は幽霊の依頼も受けている。それはありえないけど、ありえたら面白いかもしれない……と。
「亡くなった姉のメイクをする妹」は、姉が俳優として大事にしていた顔を妹に初めて任せることによって、独り立ちを表現したかったのかもしれません。
――実体験を反映させたり、取材をされたりはされましたか。
吉良:学生時代、葬儀に何度か参列しました。そこで周囲の人々からの様々な感情を肌で感じ、自分もまた、言葉では表現しきれないほどの気持ちになりました。それが今でも鮮烈に記憶に残っています。また商業版『ようこそ亡霊葬儀屋さん』の取材で地元の葬祭場にお邪魔しまして、葬祭ディレクターの方からお話を実際にお伺いました。
――妹が覚悟を決める場面、プレゼントを受け取って泣く場面、姉のアップシーンなどキャラクターの表情にオーラがあるように感じました。
吉良:キャラクターの表情は1番気を遣って描いています。読者の方にもキャラの思いが伝わっていましたら幸いです。キャラ以外ですと、作中登場するラーメンを「美味しそうにするぞ!」と気合を入れて描いていました。
――キャラクターにモデルはいるのでしょうか?
吉良:決まったモデルは特にいません。まず描きたい物語に合う主人公を作り出して、主人公のキャラ性が固まったら、それを補完するサブキャラを物語に配置する方法を採っています。
――その後本作はシリーズ化していきますが、その経緯は?
吉良:ありがたいことに当時の担当様から「商業版が連載終了してもタイトルを変えて続けてもいい」と言っていただき、純粋に「もっと本シリーズを描きたい!」という気持ちで描いていきました。SNSや同人誌を中心に単発でも読める短いエピソードを執筆しています。特に定期連載などは考えておらず、描きたい時に描くスタイルで今後もやっていく予定です。
――今後の展望や描きたい題材やトピックがあれば教えてください。
吉良:今後も商業や同人誌、SNS漫画などの執筆を続けていきたいです。個人的には映像化を目指せる作品を生み出すのが目標です。これからもぜひ温かく見守ってください。