作家はSNSをやるべきではない? 中山七里らが明かす、作家業のブッチャケ話
もう一例を挙げておこう。「作家とSNS」で、中山の「絶対にエゴサーチなんてしたら駄目ですよ」、知念の「……やんない方がいいよ」、葉真中の「人類はSNSに向いていません(笑)」と、三人ともSNSの危険性を指摘している。これは本当。新人作家がSNSでの自著の評判に振り回され、自滅していくなんて、それなりによくある話だ。このような作家を見るたびに、どうしてあなたに直接話す人ではなく、ネットの向こうの誰とも知れない人の話の方を信じるのかと不思議になる。
一方、SNSで自分の信者に囲まれ、あまりよくない方向で思い上がってしまう作家もいる。これはこれで困ったことだ。とはいえ完全にSNSと無縁でいられる作家も少ないだろう。葉真中がいうように、きちんと自分の性格などを見極め、デメリットよりもメリットの方が大きい使い方をするようにしてほしい。
ああ、この調子でいくと、いくら書いても終わらない。それだけ業界人の胸に響く、ブッチャケ話なのである。しかし三人の最終的な結論は、「書き続けること」だ。そう、何をどうしたって、結局のところ作家は、小説を書くしかないのである。新人作家と、作家志望者に贈る、もっとも必要な言葉は、これに尽きるのだ。
なお本書のカバーイラストは、「行動心理捜査官・楯岡絵麻」「白バイガール」「お電話かわりました名探偵です」シリーズなどで人気のミステリー作家・佐藤青南が担当している。四コマ漫画も掲載されているが、これがまた面白い。本書のもうひとつの読みどころである。